2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J40174
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝亦 京子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 土壌有機物形成 / ジクロロメタン-エタノール-水逐次抽出 / 硫酸処理 / 酸不溶部 / TOC(有機炭素量) |
Research Abstract |
今年度は、土壌での有機物の挙動について知見を得ることを目的として研究を行った。東京大学演習林田無試験地のシラカシモデル林にて採取したシラカシの生試料(葉、枝、小枝、根、細根)、リター(葉・小枝リター、枝リター)、土壌(地表面から5cmごと55cmまで)を試料とし、分析を進めた。 ジクロロメタン-エタノール-水による逐次抽出物の有機炭素濃度(Tcc)を測定し、元試料の有機炭素量に対する各抽出物の有機炭素収率を試算した。その結果は、生体(9-28%)>リター(5-17%)>土壌(1-3%)となった。土壌では、層が深くなるにつれ有機物量に対する抽出率が小さくなる傾向がみられた。生体が土壌有機物へと変化する過程で、有機物は溶媒抽出が困難なものへと変化している、あるいは、溶媒抽出が困難なものが蓄積されていくことが、確認できた。 未抽出試料、逐次抽出残渣それぞれについて、硫酸処理によって酸不溶部がどの程度得られるのか調べた。また、元試料の有機炭素量に対して酸不溶部の有機炭素がどの程度あるのかを算出した。その結果、未抽出試料、逐次抽出残渣共に、生体試料よりリターの方が有機炭素収率が高いことが明らかとなった。このことは、リター形成の過程で、酸不溶部を与える成分が選択的に残されていることを示す。リターと土壌を比較すると、土壌の方が低くなった。土壌での有機炭素収率の低さは土壌A層で顕著に認められ、未抽出試料はで15cm以下、逐次抽出残渣では20cm以下で層が深くなるに従い、収率が増加した。すなわち、土壌(特にA層)に含まれる有機炭素は、酸不溶部を与えない形態で存在する割合がリターに比べると高くなっている。
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Research Products
(2 results)