Research Abstract |
フラーレン誘導体による高効率・スイッチ可能な光電変換素子の開発を目的として,フラーレン-金属複合体の合成に着手し,その光電変換特性について詳細に調べたので,以下にその成果について報告する. 電極と強固な化学結合を行うために,チオール基,ホスホン酸基を用い,分子同士の凝集を避けるために,剛直な骨格である芳香族基を5個有するフラーレン誘導体を分子設計しその合成に成功した.具体的には,C_<60>(C_6H_4C_6H_5)_5(C_2H_2)_nSH,C_<60>(C_6H_4C_6H_5)_5(C_2H_2)_nPO(OH)_2,C_<60>(C_6H_5)_5(C_2H_2)_nSH,C_<60>(C_6H_5)_5(C_2H_2)_nPO(OH)_2である.合成した新規フラーレン誘導体について,電気化学測定,紫外可視吸収スペクトル測定を行い,光電気化学特性に関しての知見を得た.また,いくつかの化合物に関しては,それらの結晶構造解析にも成功している.続いて,ITOならびに金電極表面に新規フラーレン誘導体の自己組織化単分子膜を作成した.電子受容体であるフラーレン誘導体の励起状態の選択,官能基の違いや犠牲剤が光電変換系に及ぼす影響を詳細に調べ,それらを明らかにした.
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