2009 Fiscal Year Annual Research Report
食の安全をめぐる日仏政治過程分析-BSEとGMO(遺伝子組換え食品)を事例として
Project/Area Number |
08J40214
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 美也子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | 食の安全 / GMO / フランス / EU / 国際比較 / 遺伝子組換え食品 |
Research Abstract |
申請者の研究は、食の安全政策の中でも、遺伝子組換え食品(以下、GMO)に反対する反GMO運動に焦点を当てることにより、市民社会の運動がいかにして政策に対する影響力を獲得するのかを明らかにするものである。より具体的には、GMO規制に関して、国(地域)に占ってその規制の内容に相違がみられるのはなぜか、またなぜ規制の厳格度や規制の質的な内容に相違が存在するのかという点を解明することを目的としている(GMO関する規制はフランスやEUでは厳格であるのに対し、日本では緩慢であるのか)。 平成21年度は、日本、フランスのほかにEUの政策決定をも視野に入れ、比較の視点から考察を試みた。平成21年夏には、約1ヵ月渡仏し、ローカルな活動家や農業経営者、環境保護団体などへのインタビューを実施した。これまでに、日・仏の比較の視点から、次ページ記載の学会発表や、複数の口頭発表において研究成果を発表している。 これまでの研究の集大成として、博士論文「EU・フランス・日本におけるGMO規制と反対運動の政治:重層的ガバナンスの政治過程とローカルな抵抗」を執筆し、平成22年3月末に出身大学である上智大学法学研究科に提出した。博士論文では、EU、フランスと、日本のローカル・レベルにおいて、生産者と消費者の利益の連携がみられて強力な反GMO運動が展開され、一部で厳格な規制が実現していること(ローカルなレベルからの抵抗)、そして、日本の反GMO運動には、「環境」という視点が欠如しているために国政レベルの規制が緩慢になったことを論じている。
|
Research Products
(1 results)