2008 Fiscal Year Annual Research Report
食の安全をめぐる日仏政治過程分析-BSEとGMO(遺伝子組換え食品)を事例として
Project/Area Number |
08J40214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 美也子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 食の安全 / 国際比較 / フランス / 遺伝子組換え食品 |
Research Abstract |
本研究は、食に関する政策は、いかなる経緯を経て、どのような論理のもと形成されたのかを政治学の分野から探ることをテーマとしている。本年度は、消費者団体や環境保護団体の展開する市民運動、生産者や消費者間の連携に焦点を当て、遺伝子組換え食品(以下GMO)の規制政策に関して国際比較を行った。対象国は、日本とフランスである。 文献やインターネットでの情報収集のほか、関連するアクターにインタビューを行った。特に、フランスには2009年2月16-21日に滞在し、短期間でありながらたくさんの情報を収集することができた。今年度は、日仏両国の生産者団体や、消費者団体のみならず、両国の国会議員についてもヒアリング調査を行うことができたことが大きな成果であり、今後の研究のためにネットワークを広げることができたと考えている。 日本の事例について明らかにしたのは、以下の通りである。日本では、国政レベルでの食品安全基準の策定は現実には非常に緩やかであるのにもかかわらず、地方レベルにおいては、より消費者に配慮した規制が存在する。日本では、国政レベルにおいて消費者の意向が反映されにくい食品安全行政が行われており、地方で消費者寄りの政策が存在しえているのは、それが生産者の利益と一致しているからであるということを述べた。 次に、フランスの事例に関してであるが、フランスでは、EUレベルでGMO栽培が認可されているのにもかかわらず、なぜフランスではGMOの栽培を認める新法の制定に7年もの時間を要し、現在でもなおGMOの商業栽培が広がりをみせていないのかについて説明を試みた。焦点を当てたのは、GMO問題と環境問題とのつながりであり、反GMO運動は環境問題とのつながりを深めることによって、フランス政府の政策決定にある一定程度の影響力を及ぼすことが可能となったことを明らかにした。
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Research Products
(2 results)