2009 Fiscal Year Annual Research Report
心的視覚イメージに関わる脳活動についての時間的側面からの検討
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08J55032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 圭子 Hokkaido University, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 心的イメージ / 事象関連脳電位 / 視覚 |
Research Abstract |
心的視覚イメージは実際の知覚入力がない状態での視覚表象と定義される.これまでに行ってきた実験から,心的イメージの生成時には,イメージ内容の複雑さに応じて初期の視覚誘発電位の振幅が変動することが示された.この変動が,イメージ生成そのものの影響であることを確かめるために視覚的短期記憶との比較を行った.視覚的短期記憶に関しては,その保持期間中に,保持容量に応じた振幅を示す陽性の電位が後頭部位において観察される.この電位をSPCN(Sustained Posterior Contralateral Negativity)とよび,視覚表象を保持している視野と対側において観察されることから,短期記憶に保持されている表象を反映していると考えられている. 結果,短期記憶の保持と比較して,初期の視覚誘発電位にイメージ内容の複雑さの効果がみられることから,初期視覚誘発電位がイメージ生成を反映することが示された.この結果は,神経画像法により繰り返し示されてきた視覚イメージ時の視覚野の活動のタイミングを示すものとして,重要な意義がある.また,心的イメージ生成時にもSPCNは惹起されるが,短期記憶保持時よりもその振幅は減衰することが示された.このことから,心的イメージと短期記憶は一部のプロセスを共有して行われるが,これまで一部で考えられてきたように同一と考えることはできないということが示唆された. この実験の結果について,10月にベルリンで行われたSociety for Psychological Researchの学会で発表を行った.近年,SPCNの発見とともに短期記憶やワーキングメモリについての関心が高まっており,各国の研究者から様々な反応を得た.また,同実験の初期視覚誘発電位に関しては,モントリオールで行われる2010年度のCognitive Neuroscience Societyの学会で発表することを予定している.
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Research Products
(3 results)