2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAおよびオートファジーによる発癌・癌進展の制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J55101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 洋 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マイクロRNA / オートファジー / 発癌 / 癌治療 |
Research Abstract |
1.癌の発生・悪性化におけるマイクロRNAの役割の解明 本研究では、癌の発生・悪性化におけるマイクロRNAの役割を解明し、その発現調節機構を明らかとすることを目的とする。まず、これまで報告されている癌において発現の異常が認められるものの、十分な機能解析が行われていないマイクロRNAについて、各種の癌細胞においてマイクロRNAをレンチウイルスベクターを用いて過剰発現あるいは発現低下させるシステムを樹立した。このシステムを用い、いくつかのマイクロRNAが大腸癌細胞の細胞増殖および細胞周期を負に制御し、腫瘍抑制因子として機能しうることを見いだした。さらに、in silicoでの予測を行い、レポーターアッセイを組み合わせることで、これらのマイクロRNAの標的遺伝子群に、新規標的遺伝子候補として、K-Rasといった主要な癌遺伝子や細胞周期を正に制御する因子が含まれることを見いだした。現在、これらのマイクロRNAが癌細胞で異常発現パターン(主に低下)をとるメカニズムについてマイクロRNAの成熟過程(プロセッシング)に注目し探索を行っている。 2.オートファジーの発癌・癌進展、および、癌治療における役割の解明 本研究では、骨髄腫などの血液疾患を対象に、オートファジーを制御することによってよりよい癌治療の効果を得るための基礎的知見を得ることを目的とする。研究第一年度目では、オートファジーモニター蛋白GFP-LC3を用いてオートファジーをモニターするシステムの樹立を行った。次いで、オートファジーを制御する主たる経路であるmTOR経路の阻害剤であるラパマイシンとその他の様々な抗悪性腫瘍治療薬がオートファジーに与える影響について、骨髄腫細胞を用いて検討した。結果として、近年、骨髄腫の新規治療薬として臨床応用されつつある薬剤Aがオートファジー経路を制御する可能性を見いだした。現在、オートファジー調節機構と抗悪性腫瘍治療薬の治療効果との関係について探索を行っている。
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Research Products
(5 results)