2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAおよびオートファジーによる発癌・癌進展の制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J55101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 洋 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マイクロRNA / プロセシング / 癌抑制遺伝子 / p53 / オートファジー / TGF-b / アポトーシス |
Research Abstract |
1.癌の発生・悪性化におけるマイクロRNAの役割の解明 本研究では,癌の発生・悪性化におけるマイクロRNAの役割を解明し,その発現調節機構を明らかとすることを目的とする.マイクロRNAの成熟過程(プロセシング)に注目し探索を行った結果,miR-15/-16/-143/-145などの一部のマイクロRNAについて,DNA傷害によってマイクロRNAのプロセシング効率が亢進し成熟型マイクロRNAが誘導されることを見出した.詳細な検討の結果,代表的な癌抑制因子であるp53がRNAヘリカーゼp68とともにマイクロRNAのプロセシングを司るDrosha複合体と相互作用し,Drosha複合体のプロセシング機能を促進することが明らかとなった.さらに,悪性腫瘍でみられる変異型p53がマイクロRNAのプロセシングを阻害する可能性も示唆された.これらの結果は新たなp53の機能を提示するとともに,p53が制御するがん抑制機構にマイクロRNA生合成調節作用が組み込まれている可能性を示した.さらに,本研究は,最近の世界におけるマイクロRNA研究の結果と合わせて,マイクロRNAのプロセシング過程が動的かつ複雑な制御を受けていることを浮き彫りにするものである. 2.オートファジーの発癌・癌進展,および,癌治療における役割の解明 本研究では,オートファジーを制御することによってよりよい癌治療の効果を得るための基礎的知見を得ることを目的とする.昨年度は,オートファジーをモニターするシステムの樹立を行った.本年度は付随して様々な細胞内シグナル伝達経路とオートファジーとの関係を検討した.細胞増殖を制御するtransforming growth factor-beta(TGF-b)がオートファジーを誘導することを見いだし,さらにTGF-b経路の下流で,オートファジー経路とアポトーシス経路がアポトーシス促進分子であるBimを介してクロストークしている可能性が示唆された.
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Research Products
(15 results)