2008 Fiscal Year Annual Research Report
知覚・概念・行為-知覚経験の概念性および非概念性についての研究
Project/Area Number |
08J55141
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小口 峰樹 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 知覚の哲学 / 心の哲学 / 脳神経倫理学 / 概念主義 / マインド・リーディング / 侵襲性 |
Research Abstract |
1.知覚の哲学に関する研究 2009年1月に開催された第3回BESETO会議(東京大学・北京大学・ソウル国立大学の共同国際会議)において、"Is Perception Enactive?:Constitutivism and Conceptualism about Perceptual Content"というタイトルのもとで発表を行った。当発表は、私が研究課題の中心においている知覚経験の概念主義を、知覚内容に関するエナクティヴ・アプローチの批判を通じて、新たな視座のもとで展開させるものだった。本発表の内容は当該会議の会報に掲載された。さらに、この研究内容に対しては、2008年3月に行った一連の発表(UTCPワークショップ"Philosophy of Perception:Being in the World"での発表、およびCUNY認知科学シンポジウムでの発表)においてさらなる精緻化を試みた。こうした研究を通じて、知覚経験の概念主義を経験的な検証が可能な理論へと改訂させるための基盤となるモデルを構築する一歩を踏み出すことができた。 2.脳神経倫理学に関する研究 2008年8月に勁草書房より、染谷昌義との共著論文「『究極のプライバシー』が脅かされる!?-マインド・リーディング技術とプライバシー問題」を含む論文集『脳神経倫理学の展望』(信原幸弘・原塑編)が出版された。当該論文では、神経科学的な「心を読む技術」が抱える理論的困難をいくつかの点から考察し、関連する倫理的問題を生命倫理学における「遺伝子例外主義」との比較に基づいて検討した。さらに、「侵襲性概念の脳神経倫理学的検討」というタイトルのもとで、侵襲性概念の倫理的含意を批判的に検討する内容の論文を執筆し、UTCPブックレット『エンハンスメント・社会・人間性』に掲載された。
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Research Products
(6 results)