2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ初期発生における転写伸長因子P-TEFbの役割
Project/Area Number |
08J55171
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
種田 拓也 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ゼブラフィッシュ / 転写伸長 / P-TEFb / 間脳 / 背腹軸 |
Research Abstract |
本研究は、ゼブラフィッシュ初期胚を材料にして、転写伸長因子P-TEFbの個体発生における機能を解明することを目的としている。P-TEFbは触媒サブユニットCDK9と制御サブユニットであるCyclinT1,T2およびKのどれか一つとのヘテロ二量体で構成されるタンパク質キナーゼであり、Heximおよび7SK RNAによる活性抑制を受けることが知られている。前年度では、各因子のゼブラフィッシュホモログをクローニングし、P-TEFb活性制御機構がゼブラフィッシュでも概ね保存されていることを確認した。そこで本年度はクローニングのデータを基に、ゼブラフィッシュ初期胚において各因子のノックダウンを行い、その表現型を解析した。mRNAの翻訳を阻害するアンチセンスモルフォリノオリゴ(MO)をマイクロインジェクションすることで、CDK9あるいはCyclinT1をそれぞれノックダウンすると、ともに「間脳の腹側化」と呼ばれる中枢神経系の背腹軸パターニング異常を引き起こした。この表現型は、相当する組織のマーカー遺伝子に関するホールマウントin situハイブリダイゼーションによっても確認された。 これまでのin vitro解析より、P-TEFbは転写伸長を普遍的に制御する因子だと考えられてきた。しかし興味深いことに、本研究で得られた結果は、間脳という一部組織に特異的な表現型であった。もしかするとP-TEFbは、間脳の発達において何らかの特別な役割を担っているのかもしれない。今後は表現型の詳細な解析を行うとともに、その特異性がどのようにして生じるのかについて、P-TEFbのキナーゼ活性やその制御機構、あるいは転写伸長制御に何らかの組織特異性があるかという観点から詳細に解析していく予定である。
|
Research Products
(1 results)