2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本文化研究分野における大量生産型デジタル・アーカイブの構築実践と活用
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08J55612
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金子 貴昭 Ritsumeikan University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 近世出版 / 版木 / デジタル・アーカイブ / 浮世絵 / 国際研究者交流 / イギリス / 宸翰 |
Research Abstract |
1.奈良大学所蔵版木のデジタル・アーカイブ構築について、版木約4,000枚(約80,000カット)に及ぶデジタル画像処理を行なった。またこれらのメタ・データを構築し、webデータベースのプロトタイプを作成、内部利用に限られるが試験運用を開始した。構築した版木デジタル・アーカイブを研究基盤として版木調査分析を進め、その学術的成果を盛り込んだ「近世版木展」を企画・構成し、2008年度末に開催した。結果、版木資料の存在と価値を江湖に知らしめることに成功し、版木が版本の付随資料ではなく、それ自体に着目すべき点があることを示し得た。年度後半には、版木に対応する版本の収集を行い、次年度以降に行う版木・版本の比較調査の基盤を形成した。その一部は上述の展覧会に出展した。2.大英博物館所蔵浮世絵資料のデジタル・アーカイブ構築について、当年度は2008年8月31日〜9月14日および2009年3月8日〜3月22日の4週間、デジタル・アーカイブ構築に取り組み、計10,000カットに及ぶアーカイブ構築を完了した。制作したデジタル・コンテンツは博物館によってweb公開が進められており、研究界の資料整備に即座に寄与している。また後者の期間には、1の研究課題に関わり、館蔵版木資料の調査を進めることができ、次年度以降のデジタル化へう道筋をつけた。3.立命館大学所蔵藤井永観文庫所蔵宸翰資料の定量的筆跡分析の実験について、2008年度は文庫所蔵宸翰資料の予備分析を進めた。結果文庫蔵「後奈良天皇宸翰三首和歌懐紙」と、個人蔵「後奈良天皇宸翰三首和歌懐紙」との間に真贋判定の必要性があることが判明し、次年度以降に進める定量的分析実験の素材選定を行なうことができた。
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Research Products
(4 results)