2009 Fiscal Year Annual Research Report
アピコンプレックス原虫の細胞内増殖と宿主細胞操作に関する研究
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08J56011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
林田 京子 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | タイレリア原虫 / NF-kappaB経路 / アポトーシス / 比較ゲノム解析 |
Research Abstract |
本研究はTheileria parva原虫による宿主細胞無限増殖機構の解明を目的としている。 1.シゾント由来蛋白質TpSCOPによるリンパ球アポトーシス抑制およびNFκB経路の活性化: TpSCOPはT.parvaの近縁種であるT.ortentalisの細胞骨格結合蛋白質ToMRPのオーソログ分子である。我々はこのTpSCOPに対する抗血清を作製しT.parvaのシゾント期で原虫膜表面に発現されている事を確認した。またTpSCOPはアクチン分子との結合能を示す事、TpSCOPを強制発現させたマウスT細胞株はNF-κB経路の活性化およびアポトーシスに対して抵抗性を示すことを示した。これらの結果はTpSCOP分子がTheileria感染細胞内のNFκB経路の活性化およびアポトーシス抑制過程に密接に関与している可能性を示唆する結果であり、タイレリア原虫感染・増殖における生命現象を解明する上で重要な発見であると考える。 2.ゲノム情報を利用した癌化遺伝子候補の探索: T.parvaおよびT.annulataは宿主細胞の癌化をひきおこす悪性種であるが、日本にも広く分布するT.orientalisは宿主細胞癌化を引き起こさない。我々はT.orienalisのゲノム配列解読を進め3種タイレリアゲノムの比較解析を行っている。そこで悪性種のみに存在しT.orietalisゲノムでは欠損し、さらに原虫膜表面に局在または分泌蛋白質をコードしている遺伝子であると予測されるもの、という二つの条件で腫瘍化の原因となる遺伝子候補を絞り込んだ。うち3遺伝子については大腸菌発現系により組み換え蛋白質を作製し、免疫して得た抗血清による原虫感染細胞内における発現の確認と局在解析を行った。これら遺伝子については今後哺乳類細胞系における細胞増殖や細胞死に与える影響について解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)