2008 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子Bach1とp53ネットワークを介した細胞老化制御の解明
Project/Area Number |
08J56051
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
太田 一成 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Bach1 / p53 / 細胞老化 / Rb / Perp / p21 / Pai1 / Noxa |
Research Abstract |
私たちは、転写因子Bach1はがん抑制因子p53と複合体を形成し、p53による標的遺伝子活性化を抑制することを報告した(Dohi et al.,Nature Struc.Mol.Biol.2008)。このことから、Bach1の下流遺伝子群に着目することにより細胞老化の誘導や維持に関わる遺伝子を同定できると考えて、野生型とBach1ノックアウトマウスの胎児線維芽細胞(MEF細胞)を用いて細胞老化に伴う遺伝子発現の変動をマイクロアレイにて解析した。Bach1とp53により制御される遺伝子群より老化関連遺伝子の候補を選別し、老化したBach1ノックアウトMEF細胞にRNAi法を用いてそれらの遺伝子のノックダウンを行った。 現在までにRNAi法を用いて12ヶの遺伝子のノックダウンを行なったが、いずれも単独ノックダウンでは明らかな再増殖は認められなかった。一方、Perp、p21、Pai1、Noxaの4つの遺伝子を同時にノックダウンさせると、弱いながらも細胞老化のキャンセル傾向が見られた。p53による細胞老化の誘導、維持には複数の下流標的遺伝子が関与することが考えられ、その中でPerp、p21、Pai1、Noxaが相互作用しながら機能していることが分かった。 Rb経路を制御することも必要であると考え、この4つの遺伝子に加えてRb1も同時にノックダウンを行なった。Rb1、Perp、p21、Pai1、Noxaの5つの遺伝子のノックダウンでは明らかな細胞増殖能の回復、形態の変化が見られ、細胞老化がキャンセルされた。同様の結果は野生型のMEF細胞でも観察された。以上の結果を発展させることでp53とRb経路のクロストークを解明し、細胞老化やがん防御の分子機構の一端につながり得ると考えられる。
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Research Products
(5 results)