2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J56111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
府中 玄樹 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メタゲノム / 土壌汚染化 / PCR-DGGE / γ-HCH / PAHs |
Research Abstract |
本研究では、人為起源物質である有機塩素系農薬γ-hexachlorocyclohexane(γ-HCH)と自然環境由来の芳香族化合物類(Polycyclic Aromatic Hydrocarbons,PAHs)を用いて土壌の汚染化を行い、土壌中の微生物を解析対象とするメタゲノム的手法を用いた菌叢の解析や汚染物質分解酵素遺伝子の探索を経時的に行った。γ-HCH汚染化後288日目までの土壌からは明確な菌叢の変化が観察されず、また、γ-HCH分解酵素遺伝子群はPCR法によって検出されない。汚染後60日目の土壌中からはγ-HCHの分解産物であるγ-pentachlorocyclohexene(γ-PCCH)が検出されている。γ-PCCHはγ-HCH分解代謝経路における初発分解酵素のLinAによって、γ-HCHから1つのCl^-が除去されて生成される。本土壌では、LinAをコードするlinA遺伝子がPCR法で検出されず、linAと構造が異なる機能的ホモログの土壌中への存在が示唆された。PAHsによる汚染化土壌は、16S rRNAを標的としたDGGE法による解析の結果、汚染後一日目から明確なバンドパターンの変化が観察されている。添加したPAHsの土壌中の残存量は、汚染後84日目までにはGC-MSの検出限界以下に減少し、それに伴う既知の分解酵素遺伝子の増減が観察されている。 以上、γ-HCHおよびPAHsによる土壌の汚染化を行った結果、γ-PCCHが検出され、土壌中で何らかの応答が起きていることが示された。一方で、自然環境由来のPAHsを用いた汚染土壌からは、汚染後早期に土壌微生物集団の応答が観察されている。これら物質に対する微生物集団の応答の違いについて、土壌に添加した物質が自然環境由来か否かが土壌微生物集団に対して影響を与える決定要因であることが示された。
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Research Products
(1 results)