2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J56111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
府中 玄樹 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メタゲノム / 芳香族化合物 / 有機塩素系農薬 / 土壌汚染化 |
Research Abstract |
本研究課題では、環境汚染に対する土壌微生物の応答機構の解明を目的として研究を行っている。汚染物質として、複数の芳香族化合物類と有機塩素系農薬のγ-hexachlorocyclohexane(γ-HCH)のそれぞれを汚染歴の無い土壌に添加し、メタゲノム的手法を用いて難培養性微生物も含めた土壌中の微生物全体を対象とした解析を行った。16SrRNA遺伝子を標的としたPCR-DGGE法による菌叢の解析、PCR法による分解酵素遺伝子の探索、分解細菌の探索を経時的に行うことにより、土壌の汚染化に対して土壌微生物がどのような応答を示し、分解細菌の出現に至るかという、微生物の適応・進化機構の解明に対し重要な知見を得ることが期待できる。これまでに得られた結果として、芳香族化合物類による汚染土壌からは、汚染後1日目に菌叢の変化が観察されており、その後既知の芳香族化合物分解酵素遺伝子と相同性の高い遺伝子が検出されている。菌叢の変化は、1日目以降、21、42、84日目で特に顕著に観察されている。これら菌叢の変化は、土壌中の芳香族化合物の減少が著しい時期と重なっており、今後、菌叢の詳細な解析と汚染源として用いた個々の芳香族化合物分解酵素遺伝子に着目した解析や分解菌の単離など複合的な解析から、芳香族化合物分解に関与する微生物を明らかにできると考えられる。一方、γ-HCH汚染土壌からは、顕著な菌叢の変化や既知の分解酵素遺伝子の増幅が観察されていないが、γ-HCHを加えた寒天培地上でγ-HCH分解の指標であるクリアゾーンを形成する2株のBacillus属細菌が単離された。本菌株は、既知のHCH分解酵素遺伝子群を有しておらず、クリアゾーン形成メカニズムについて興味が持たれており、現在詳細な研究を行っている。
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Research Products
(1 results)