2008 Fiscal Year Annual Research Report
膵β細胞におけるClass IA PI3キナーゼの役割
Project/Area Number |
08J56151
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 和真 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子生物学 / 糖尿病 / 膵β細胞 / インスリン分泌 |
Research Abstract |
本研究では、膵β細胞特異的Class IA PI3キナーゼ欠損マウスの解析により、膵β細胞におけるPI3Kの役割を個体・分子レベルで解明し、膵β細胞の増殖・再生・機能を制御するメカニズムを解明し2型糖尿病の治療へつなげることを目的としている。 平成20年度の研究により、膵β細胞でPI3Kを抑制することにより、アポトーシスが亢進し膵β細胞の量が減少すること、また膵β細胞でインスリン開口放出機構を制御するSNARE蛋白質の発現が低下していること、Gap Junctionを構成するConnexin36の発現が低下しCa2+流入の同期障害を呈していることを確認した。PI3K欠損マウスではこれらの障害によりインスリン分泌が低下し耐糖能障害を呈していると考えられ、実際、このPI3K欠損マウスの膵島に変異体Aktアデノウイルスを感染させてインスリンシグナルを回復させると、これらの遺伝子の発現が回復しインスリン分泌自体も改善されることを確認した。さらには、糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスの膵島においてはグルコース応答性インスリン分泌が著明に低下しているが、この膵島でも驚くべきことに同期障害を呈しており、この同期障害は2型糖尿病の発症メカニズムの一つの要因であると考えられた。 本研究により、膵β細胞においてClass IA PI3キナーゼは、膵β細胞の量の制御だけではなく、インスリン開口放出機構や膵β細胞の同期などその機能まで制御している成果を得た。この膵β細胞特異的PI3K欠損マウスの表現型は2型糖尿病の発症初期を極めて良く模倣しており、今後2型糖尿病の治療あるいは予防のターゲットとしてPI3Kが期待され、膵β細胞特異的にPI3Kの活性化を促す薬剤が期待される。
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Research Products
(6 results)