2009 Fiscal Year Annual Research Report
TRAF6シグナルによる制御性T細胞分化決定機構の解明
Project/Area Number |
08J56161
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
下茂 佑輔 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 制御性T細胞 / TRAF6 / 胸腺 / シグナル伝達 / 免疫寛容 / NF-κB |
Research Abstract |
制御性T細胞(regulatory T cell : Treg)は免疫応答を抑制するT細胞のサブセットであり、自己免疫疾患をはじめとする様々な疾患治療の標的として期待されている。本研究はTregがほぼ消失するTRAF6欠損マウスの解析を糸口としてTreg分化の分子機構を解明し、免疫疾患治療に有益な情報基盤を得ることを最終目的とした。具体的に以下に示す3つの方法で研究を進めている。 1.TRAF6が機能してTregへの分化を誘導する細胞の同定 2.同定した細胞でTreg分化を誘導するTRAF6シグナル上流の受容体とシグナル伝達機構の解明 3.TRAF6シグナル標的遺伝子の同定と免疫疾患、Treg分化への寄与の検討 平成20年度までに1.が胸腺細胞であることを同定し、これまでの報告から2.の受容体がTCRである可能性が強く示唆されていた。そして、TRAF6がTCRの下流でNF-κBとJNKの活性化を正に制御し、AktとERKの活性化を負に制御することを明らかにした。 平成21年度は、TCR下流のNF-κB活性化はTRAF6依存性の異なる2つの経路に分かれており、TRAF6はNF-κBの初期活性化に重要であることを明らかにした。過去の報告から、制御性T細胞の胸腺内分化には、このTRAF6依存的なNF-κBの活性化が重要であることが示唆された。そしてマイクロアレイ解析を行うことで、TCRの下流でTRAF6依存的に迅速に活性化するNF-κBの標的遺伝子として12の遺伝子を同定した。実際にこれらの遺伝子がTreg分化に寄与するかを解析するため、今後これらの遺伝子をTRAF6欠損胸腺細胞に過剰発現させることで、Treg分化が回復するかを検証する予定である。
|
Research Products
(4 results)