2010 Fiscal Year Annual Research Report
TRAF6シグナルによる制御性T細胞分化決定機構の解明
Project/Area Number |
08J56161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
下茂 佑輔 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 制御性T細胞 / TRAF6 / 胸腺 / シグナル伝達 / 免疫寛容 / NF-κB |
Research Abstract |
制御性T細胞は生体にとって有害な免疫反応(自己免疫など)の抑制に必須である。本研究は制御性T細胞がほぼ消失するTRAF6欠損マウスの解析を糸口として、制御性T細胞分化の分子機構を解明し、免疫疾患治療に有益な情報基盤を得ることを最終目的とした。具体的に以下の方法で研究を進めた。 1.TRAF6が機能して制御性T細胞への分化を誘導する細胞の同定 2.同定した細胞で制御性T細胞への分化を誘導するTRAF6シグナルの上流の受容体と細胞内シグナル伝達機構の解明 3。TRAF6シグナルにより転写が誘導される標的遺伝子の同定と免疫疾患、制御性T細胞分化への寄与の検討 平成21年度までの研究から、1.の細胞が「胸腺細胞」であることを同定し、2.の受容体がTCRであることが強く示唆されていた。そしてTCRの下流でTRAF6がNF-κB、p38、JNKの活性化を誘導し、AktとERKの活性化を抑制することが判明していた。さらに、制御性T細胞の胸腺内分化には、TRAF6依存的な初期NF-κBの活性化が重要であることが示唆された。そしてマイクロアレイ解析を行うことで、TCRの下流でTRAF6依存的に迅速に活性化するNF-κBの標的遺伝子として12の遺伝子を同定した。 平成22年度は、リアルタイムPCR法によりマイクロアレイ解析から得られた結果の再現性を確認し、Ier3、Gadd45βという2つの遺伝子がTRAF6依存的なNF-κBの標的として同定された。さらに、この2つの遺伝子を過剰発現させるためのベクターを構築した。今後これらの遺伝子の制御性T細胞分化への寄与が証明され、本研究が制御性T細胞分化機構の解明に貢献することが期待される。
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Research Products
(4 results)