2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子テレポーテーションの応用による連続量量子情報処理の実験的研究
Project/Area Number |
08J56171
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 純一 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子光学 / 量子情報 / エンタングルメント |
Research Abstract |
本年度は、測定とフィードフォワードを用いた連続量の量子情報実験として、3つの研究を行った。まず、量子消去の実験、次に、線形増幅器の実験を行い、最後に、1モードのスクイーズ操作実験に戻り、それを時間領域での動作に移行させた。 連続量の量子消去として、一般化された位置と運動量の間の不確定性関係を扱った。量子非破壊相互作用により生じたエンタングルメントに対して、適切な基底で測定を行ってフィードフォワードすることにより、純粋化されることを確かめた。これは、量子非破壊測定の観点からも解釈することができ、測定器に移った被測定状態の情報を消去することで、測定の反作用を打ち消したと考えられる。このような操作は、一方向量子計算に用いるエンタングルド状態の整形に必要であると考えられる。 量子力学的な増幅器は、増幅の対象となるモードが1モードであっても、交換関係における無矛盾性の要請から、一般には補助モードが必要になり、相互作用の形を取る。2モード入力2モード出力の相互作用として、位相に関して一様な線形増幅器を実現した。また、増幅された出力をビームスプリッターで2つに割ることで、コヒーレント状態に対する近似的な量子複製を行った。 ここまでの研究は、レーザー光のサイドバンドの極めて狭い帯域で定義される量子状態を扱ったものであった。それに対して、時間領域のスクイーズ操作実験ではこれを広帯域化し、時間的に局在した波束で定義される量子状態を扱った。このような量子状態の取り扱いは、光子検出器と整合性が良く、従って、将来的に非ガウス状態を扱う実験ができる可能性が有る。電子回路の広帯域化等の、個々の要素の変更だけではなく、光学系のフィードバック制御を行う時間と量子ゲートとして動作する時間を分割するなど、手法として新しいものを多く取り込んで実験を行った。
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Research Products
(10 results)