2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J56181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 健治 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | K3曲面 / 周期写像 / 格子 / 自己同型群 / シンプレクティック作用 / 保型形式 |
Research Abstract |
K3曲面の極大有限シンプレクティック作用について研究した。このような作用は抽象群としては全部で11個あることが知られていて、その中のいくつかの場合にはK3格子の不変部分格子が決定されていた。残りの場合についても原理上は計算が可能だがそれはなされていなかった。そこで私は計算機を用いて残された場合についても不変部分格子を決定した。不変部分格子は階数3の正定値格子なので、極大有限シンプレクティック作用をもつ偏極K3曲面の数え上げは、整数上の2次形式の問題に帰着される。次数が2dのこのような偏極K3曲面の個数N(d)は有限であるが(以下作用している群をひとつ固定する)、これがどの程度の速さで無限大に発散するかという問題を考えた。これは上に述べたような事情から2次形式の問題に言い換えることができる。2次形式の理論からN(d)は概ねdの平方根程度の速さで無限大に発散することがわかった。 前年度は群が作用するK3曲面の(ある)1次元族について研究した。このとき作用する群は5次交代群だったが、今度は群を4次対称群として、その代わりに2次元族を考察した。具体的には、4次対称群の自明な表現と正6面体群としての表現の直和を考える。これは4次元表現であり、この表現の下での4次の不変式から2次元の(効果的な)K3曲面の族を作ることができる。上述の計算機により得られた結果から、この族はある志村曲線の2つのコピーの直積によりパラメトライズされることが予想される。実際、ファイバーが退化するようなパラメータの満たす方程式は1次式の積に分解されて、各1次式(パラメータ空間内の直線に対応)は志村曲線の楕円点に対応している。
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