2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J56221
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大木 清弘 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 海外子会社 / 国際分業 / 能力構築 / 多国籍企業 / 海外工場 |
Research Abstract |
本研究員の今年度の研究計画の骨子は、「1.企業調査」、「2.前年度調査、及び1に基づいた論文作成・成果発表」であった。 1に関しては、科学研究費補助金を用いた調査として、セイコーエプソン社への国内調査と、海外調査として、ハードディスクドライブメーカーであるα社のタイ工場への調査を行った。 特にα社のタイ工場は平成19年から継続的に調査している工場である。海外工場の変化を長期にわたって観察した研究は、これまで少なかった。海外工場の成長や能力構築の実態に迫ることは、海外事業を拡大させている日本企業にとって有益なことであろう。当初の計画通り、これらの調査を通じて、平成22年度に成果発表が行なわれる。 2に関しては、前年度からの調査と海外調査を基にした論文を複数執筆した。まず、前年度に国際ビジネス研究に投稿した論文が掲載された。この研究では、「国際分業構造が海外子会社の能力構築を阻害する可能性」が示唆され、各国の立地優位だけでなく、より動態的な視点から分業体制を考慮すべきことが明らかになった。なお、この論文は国際ビジネス研究学会優秀論文賞を2009年10月に受賞している。 次に、前年度に行った昭和電工の調査から作成した論文が組織科学に掲載された。この論文からは、海外子会社も含めた各国拠点を組織内で競争させることで、海外子会社の能力構築が活発化する側面があることを指摘して、各国拠点が多様性を持って競争することの価値を明らかにした。 また、前年度にデータを集め、分析を開始した、日本人駐在者数に関する分析は、学会での発表を経て、国際ビジネス研究に論文が掲載されることが決定した。本論文では海外派遣社員を増やすことが海外子会社のパフォーマンスを上げる可能性が指摘された。 これらの調査・研究を元に、来年度も同等の成果をあげることを目指している。そして一定の成果が蓄積したところで、博士論文を当初の計画通り作成する。
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