2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌細胞株colon 38の肝特異的転移におけるアシアロ糖蛋白質受容体の機能解析
Project/Area Number |
08J56241
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 傑 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 大腸癌 / 胃癌 / 肝転移 / 転移の臓器特異性 / 糖鎖 / アシアロ糖蛋白質受容体 / 接着分子 / 肺転移 |
Research Abstract |
<序論及び目的>癌の転移は臓器特異的であり、大腸癌患者さんの予後は肝転移で決まる為、臓器特異的転移が起こる原因を解明することが必要である.この転移特異性を規定する因子の一つとして、癌細胞の糖鎖と、臓器細胞に特異的に発現するアシアロ糖蛋白質受容体(ASGR)の相互作用に着目した. <結果>(1)胃癌細胞表面のASGR結合性蛋白質の同定胃癌細胞表面に発現するASGRに対する機能的リガンドを同定することが、ASGRの癌細胞に与える影響を調べる上で必須である.そこで、癌細胞表面のリガンド精製を行い、候補となりうる幾つかの蛋白質をMALDI-TOF型質量分析装置で解析、ラミニン511を同定した.現在このラミニン511が機能的な主要なリガンドであるか否かを明らかにするため、RNAiを用いた発現抑制株を作製し、ASGRとの結合性が低下するか否かを評価している.(2)肝を介した肺転移へのASGRの関与結腸癌は肝臓に一度転移した後に、肺に転移することがわかっている.この過程で肝に発現するASGRにより癌細胞が刺激を受け、肺転移が促進される可能性が考えられる.筆者はASGR固相化プレートで培養した癌細胞の肺転移が促進される結果を得て、現在分子機構を解明するためにin vitroにてASGRによる影響を評価している. <結果の重要性>臓器特異的な動物性の糖鎖受容体が、癌細胞の接着及び増殖を亢進することを筆者は前年度に示した.本年はこの糖鎖受容体の機能的リガンドとなる分子を同定したことから、分子機構の解明に繋げたいと考えている.また消化器癌の肝転移だけでなく、肝臓に一度転移巣を形成した癌細胞の性質がASGRにより影響を受け、次標的となる肺への転移が促進されることを示唆する興味深い結果を得た.現在、ルシフェラーゼ発光によるin vivoの癌早期転移測定の系を作製しており、ASGRにより刺激を受けた癌細胞が肺転移のどの段階で影響を示すのかを明らかにしたいと考えている.今後、ASGRを介した消化器癌の肝転移分子機構を解明することで、将来転移抑制治療に繋がることを期待している.
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Potentiation of proliferation of some but not all human coloncarcinoma cell lines by immobilized hepatic asialoglycoprotein receptor 12009
Author(s)
Fang JB, Izawa R, Gomez-Santos L, Ueno S, Sawaguchi T, Usami K, Nodera Y, Takeuchi H, Ohashi Y, Higashi N, Irimura T
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Journal Title
Oncol Res 17(10)
Pages: 437-45
Peer Reviewed
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