2010 Fiscal Year Annual Research Report
MOAの銀河中心方向大規模サーベイ観測における包括的系外惑星探索の研究
Project/Area Number |
08J56341
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福井 暁彦 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 太陽系外惑星 / トランジット / TTV |
Research Abstract |
今年度は昨年度に引き続き、トランジット惑星に対するトランジット・タイミング・バリエーション(Transit Timing Variations,以下TTV)の観測的研究を行った。トランジット惑星とは惑星が周期的に主星の前面を通過(トランジット)するような太陽系外惑星のことである。トランジットの周期はその系に惑星が1つだけ存在する場合は常に一定となるが、もし複数の惑星が存在する場合は惑星同士の重力相互作用によって一定周期からずれが生じ得る。このずれを検出することでその系における未検出の惑星の検出が可能である(TTV法)。TTV法は特に平均運動共鳴の惑星に検出感度が高く、条件によっては地球質量程度の非常に低質量の惑星も検出が可能である。 私はニュージーランドのマウント・ジョン天文台にある口径61cmの望遠鏡を用いて、トランジット惑星WASP-4bおよびWASP-5bの測光観測を行った。それぞれ合計9回及び7回のトランジットを観測し、得られたトランジットの光度曲線からそれぞれのトランジットの中心時刻を求めた。先行研究のデータを含めて周期の変化を調べた結果、WASP-4bで2.4シグマ、WASP-5bで3.7シグマの有意性で一定周期からずれている事が分かった。これらのずれは、何か未知の系統誤差の影響か、もしくは未検出の追加惑星によるTTV効果の可能性が考えられる。 これらのシグナルの有意性はまだ低く、結論を出すにはさらなる追観測が必要であるが、ここでは数値シミュレーションを用いて追加惑星の質量の上限値を惑星の周期比の関数で求めた。その結果、WASP-4b、WASP-5bとそれぞれ2:1の平均運動共鳴の位置において、それぞれ1および数地球質量の惑星の存在を3シグマの信頼度で排除した。私はこれらの結果をまとめ、論文誌に投稿し、掲載された(Fukui et al.2011,PASJ,63,287)。
|
Research Products
(12 results)