2009 Fiscal Year Annual Research Report
地方自治体における低炭素社会シナリオ策定手法の開発に関する研究
Project/Area Number |
08J56391
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
五味 馨 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | low-carbon society / sceanrio approach / policy modeling / climate change mitigation |
Research Abstract |
(1)バックキャスティングモデルの開発:低炭素対策の時間軸上の実施過程を推計し、低炭素社会ロードマップ(行程表)を構築する計算ツールである「バックキャスティングモデル(BCM)」を開発した。混合整数計画法による条件付き最適化問題として定式化されている。本年度の開発においては次の二点を新たに開発・追加し考慮すべき要因を広く取り込むことを可能とした。(1)投入可能な資源の制約(政府、家計、企業の負担可能な金額、人的資源)。(2)低炭素社会施策の総合的評価(低炭素以外の政策分野への影響について複数の基準から評価を行い定量化する。AHP(Analytic Hierarchy Processの手法を応用)。 (2)統合的なシナリオ構築手法の開発:これまでに開発した各手法とツール群を次の4つの段階からなる体系的な手法に統合した。(1)目標決定と情報収集、(2)低炭素社会施策の予備評価、(3)低炭素社会ビジョンの構築、(4)低炭素社会ロードマップの構築。上記の各段階には、政策担当者、モデリング・チーム、関係者会合(対象地域の政府担当者、住民、事業者、市民団体などで構成される会議)それぞれの参画が要請され、インタラクティブなプロセスによってシナリオが構築される。 (3)手法の適用:開発した手法を京都市および滋賀県において両自治体の温暖化対策関連部局の協力を得て適用し、2030年の低炭素社会像および2010年から2030年までの施策ロードマップを構築した。またマレーシア・ジョホール州のイスカンダー・マレーシア地域において2010年度には新たに入手したデータとマレーシア国の将来計画等を反映して低炭素社会像を再推計した。 以上の開発および適用によって、地方自治体において低炭素社会シナリオを構築する手法は概ね整ったものど考える。2010年3月現在、京都市および滋賀県では実際にこの手法を活用した条例及び計画の策定過程が進行中である。
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Research Products
(10 results)