2009 Fiscal Year Annual Research Report
在日朝鮮人=日本人接触領域における「異種混交性の戦略」に関する社会学的研究
Project/Area Number |
08J56401
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
李 洪章 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エスニシティ / アイデンティティ / ナショナリティ / ディアスポラ / 在日朝鮮人 / 生活戦略 / 国際結婚 / 朝鮮籍 |
Research Abstract |
第一に、在日朝鮮人と日本人の「国際結婚」について考察した。本研究では国際結婚を、「民族性の固守・継承」(=タテのつながり)と「家族戦略」(=ヨコのっながり)という二つの着眼点から考察した。在日朝鮮人社会における民族観とそれに基づく結婚観の影響を色濃く受けた在日朝鮮人は、民族の継承という「タテのつながり」の行動様式から「逸脱」した者としてみなされるが、生活基盤を置く在日朝鮮人社会から放逐されることを避けるべく、在日朝鮮人社会の民族観.結婚観と折り合いをつけていくための国際結婚言説を構築する。するとさらに、「民族性の固守・継承」を日本人配偶者に理解させ、家族戦略にも反映させる必要に迫られるのである。在日朝鮮人と日本人の「国際結婚」の困難さは、まさにこうしたタテとヨコのつながりの交点に存在するものと思われる。 第二に、外国人登録法上の国籍表記が「朝鮮」である在日朝鮮人のナショナル・アイデンティティの様相を明らかにする研究を開始した。朝鮮籍者のナショナル・アイデンティティといったとき、一般的に「朝鮮民主主義人民共和国の海外公民」という意識が想起されるだろうが、実際にはそれが多元的かつトランスフォーマティブなものであることを明らかにすることを目指した。具体的には、複数のネイションの上に成り立つ朝鮮籍を有する在日朝鮮人のナショナル・アイデンティティのあり方について考察し、彼/彼女らが、みずからの置かれた政治的/社会的状況を切り拓くべく、いかなる戦略を打ち立て、管理と排除の眼差しとせめぎ合うのかを、若い世代の朝鮮籍者に対するインタビューから明らかにした。
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Research Products
(5 results)