2010 Fiscal Year Annual Research Report
在日朝鮮人=日本人接触領域における「異種混交性の戦略」に関する社会学的研究
Project/Area Number |
08J56401
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
李 洪章 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 在日朝鮮人 / ナショナル・アイデンティティ / 当事者性 / ディアスポラ / 朝鮮籍 |
Research Abstract |
筆者は本年度、主に以下の3点について研究に取り組んだ。 (1)第一に、複数のネイションの上に成り立つ朝鮮籍在日朝鮮人(以下、朝鮮籍者)のナショナル・アイデンティティのあり方について考察し、彼/彼女らが、みずからの置かれた政治的/社会的状況を切り拓くべく、いかなる戦略を打ち立て、管理と排除の眼差しとせめぎ合うのかを、若い世代の朝鮮籍者に対するインタビューから明らかにした。 (2)第二に、これまでの調査研究の経験を通して感じてきた、〈私〉の在日朝鮮人としての、あるいは研究者としてのポジショナリティについて言及した。ここで筆者は、在日朝鮮人と日本人のあいだに生まれたいわゆる「ダブル」である被調査者との関係のなかで、〈私〉が在日朝鮮人「当事者」として、あるいは「調査者」として経験してきたあらゆる葛藤の記述を通して、自らのポジショナリティのあり方をいかに模索してきたのかについて論じている。 (3)第三に、筆者は本年度前期、優秀若手研究者海外派遣事業による助成を受けて、大韓民国における調査を行ったが、その際在日朝鮮人留学生へのインタビュー調査を実施し、彼/彼女らが、本国との接触をはたし、「故国」である韓国社会で生を営むなかで、「祖国/民族」観を変容させながらどのような生活戦略をとっているのかについて考察した。 なお、上記(1)、(2)の研究結果はすでに論文として公表されており、(3)については来年度、論文誌に投稿予定である。
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Research Products
(3 results)