2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外ATPシグナル制御による炎症性腸疾患の治療法の開発
Project/Area Number |
08J56421
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新 幸二 Osaka University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / TH17細胞 / 粘膜免疫 / 自然免疫 |
Research Abstract |
最近、新たに同定されたインターロイキン(IL)-17産生ヘルパーT細胞(TH17細胞)が炎症性腸疾患に関与していることが報告されている。TH17細胞の分化についてはin vitroにおいて多くの解析がなされているが、腸管での分化、誘導においては十分に解析がなされていない状況であった。そこで、腸管粘膜固有層に存在するTH17細胞の誘導メカニズムの詳細を解析した。腸内常在菌が存在しないGermFreeマウスには腸管粘膜固有層のTH17細胞がほとんど存在していなかった。このことから腸内常在菌からの何らかの刺激により腸管TH17細胞が分化誘導されていることが明らかになった。さらに、詳細に解析した結果、腸内常在菌由来のATPが腸管粘膜固有層に存在しているCD70陽性CD11b陽性のユニークな樹状細胞を活性化し、TH17細胞の誘導因子であるIL-6、IL-23の産生やTGF-βの活性化を引き起こし腸管でのTH17細胞の分化を誘導していることを明らかにした。また、ATPによるTH17細胞の増加が大腸炎の悪性度と相関することも明らかにした。これらの成果は、炎症性腸疾患という病因が明らかでない疾患の一つの病因を示唆するものであり、今後の治療法の開発に応用されることが期待される。
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Research Products
(4 results)