2009 Fiscal Year Annual Research Report
三角格子反強磁性体における磁気特性と誘電特性の相関に関する研究
Project/Area Number |
08J56431
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 健太 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電気磁気効果 / 三角格子反強磁性体 / マルチフェロイクス |
Research Abstract |
本研究は、三角格子反強磁性体におけるスピンカイラリティの電場による検出・制御を目指している。具体的には、螺旋スピン構造由来の強誘電性を示す三角格子反強磁性体CuCrO_2に着目し、単結晶を用いてその強誘電性と磁性の相関を調べている。本年度は、磁気構造と電気分極の相関を解明するために、(電場中)偏極中性子回折を行った。その結果、(1)基底磁気構造が非整合プロパースクリュー磁気構造であること、(2)スピンカイラリティを電場制御可能であること、を直接的に示した。これは、三角格子反強磁性体におけるスピンカイラリティの検出・制御に強誘電性の利用が有効であることを示す重要な結果である。この成果は、Journal of the Physical Society of JapanのEditor's Choiceに選ばれた。 昨年度の研究により、CuCrO_2が電気分極の変化を伴う磁場誘起磁気転移を示すことを発見していたが、その詳細は明らかでなかった。そこで、磁気構造の変化を観察するために磁場中偏極中性子回折を行った。磁気転移により螺旋面方向が90度フロップすることを突き止めた。また、磁気対称性の考察から、磁気転移により電気分極方向が90度フロップすることを導き出し、これが電気分極の変化に対応していることを明らかにした。また、この磁気転移は、CuCrO_2と類似の性質を持つ三角格子反強磁性体において初めて発見された転移である点も興味深い。この成果は、Physical Review Bに掲載された。 非整合性の起源について探るべく、磁場中歪みゲージ測定により格子歪みについて調べた。基底磁気構造相において三角格子面に歪みが生じることを発見し、格子歪と非整合性に密接な関係があることを示した。この成果は、Journal of the Physical Society of Japanに掲載された。
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Research Products
(7 results)