2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J56451
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
窪田 康平 Osaka University, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 実証分析 / 消費行動 / ライフサイクル・恒常所得仮説 |
Research Abstract |
マクロ経済の動向を説明するためには、家計の消費行動をモデル化することが必要である。本研究はこれまで前提であった家計の合理性という消費理論の仮定に注目して理論を検証する。 本年度行った研究の目的は、恒常的な所得ショックに対して家計はどのような消費行動行うかを分析し、さらに日米の消費行動の共通点と相違点を明らかにすることである。 この研究の特徴は主に3点ある。第一は、仮想的に予想される恒常的な所得変化に対してどのように消費を変化させるかを質問しているので、理論が想定する状況下で忠実に消費行動を分析できること。第二は、標準的なLCPIHの検証だけでなく、同時にさまざま消費理論を検証することができること。最後は、日米の相違点や共通点を統計的に検証できることである。 ライフサイクル・恒常所得仮説(LCPIH)によれば、人々は恒常所得の変化というショックに直面するとその時点で消費を変化させる。しかし、実証分析の結果、LCPIHと整合的な選択をした家計の割合は日本で1.6%、アメリカで3.9%にすぎない。家計が選択した消費のパターンには、家計間で多様性が見られる。多数派の家計は、日米ともに恒常的な所得が増加してもすぐに消費を変化させないと回答している。この消費経路の選択は、資産選好モデルと整合的である。また、恒常所得の変化に対して消費を徐々に変化させるという合理的習慣形成理論とも整合的な家計が多い。さらに、実際に借入制約に直面している家計において、借入制約の理論の予測と仮想的質問の選択結果が整合的であることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)