1998 Fiscal Year Annual Research Report
食肉類(ネコ目)由来のレトロウイスルの起源に関する比較分子生物学的解析
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09041150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮沢 孝幸 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80282705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀本 泰介 大坂府立大学, 農学部, 助教授 (00222282)
小野 憲一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50111480)
土井 邦雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70155612)
高橋 英司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50183439)
見上 彪 帯広畜産大学, 原虫病分子免疫研究センター, 教授 (20091506)
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Keywords | ベトナム社会主義共和国 / ネコ免疫不全ウイルス / ネコヘルペスウイルス1型 / ネコ白血病ウイルス / ネコ巨細胞形成ウイルス / ネコカリキウイルス / ネコパルボウイルス / ベンガルヤマネコ |
Research Abstract |
本研究はベトナムに棲息する各種食肉類(ネコ目)から、レトロウイルスを分離・同定し、既知のレトロウイルスとの比較において、レトロウイルスの起源の解析を試み、さらにレトロウイルスの浸潤状況を把握し、我が国に棲息する野生ネコ目も含めたネコ目の保全に寄与することを目的とする。本年度はホーチミン市近郊およびフエ市近郊で2回野外調査を行い、ハノイ農科大学で研究成果発表を行った。さらに、台湾においても家ネコの野外調査ならびに学術講演を行った。 まずホーチミン市近郊の家ネコおよびベンガルヤマネコより採血を行い、血漿中のネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ネコ巨細胞形成ウイルス(FSV)に対する抗体およびネコ白血病ウイルス(FeLV)のウイルス抗原を調べた。FeLVは家ネコ、ヤマネコともに陽性例は見られなかった。FIVは家ネコの22%が陽性であったが、ヤマネコには陽性例はなかった。FSVは家ネコの78%、ヤマネコの25%が陽性であった。次いで家ネコの末梢血リンパ球からFIVの分離を試み、6株の分離に成功した。env遺伝子のV3-V5領域の遺伝子解析から、5株がサブタイプCに、1株がサブタイプDに属することが明らかとなった。サブタイプCはカナダと台湾で流行していることが報告されている。今回の結果からホーチミン市近郊のFIVは、カナダや台湾から最近持ち込まれたか、もともと日本を除くアジアでサブタイプCが流行していた可能性が考えられた。アジアでのFIVの起源を明らかにするためには今後、ベトナム、台湾以外のアジア諸国のFIVの浸潤状況調査とサブタイピング解析を進める必要があると思われる。また、今回レトロウイルス以外のウイルス感染疫学調査から、ネコヘルペスウイルス1型、ネ・平カリキウイルス、ネコパルボウイルスの流行が明らかとなった。特に、ネコパルボウイルスでは今まで報告のない新しいタイプの株(CPV-2cと命名)を分離した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ikeda,Y.,Miyazawa,T.,et al.: "A new quantitative method of feline parvovirus(FPV)and virus neutralizing antibody against FPV using a feline T lymphoid cell line." Journal of Veterinary Medical Science. 60(8). 973-974 (1998)
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[Publications] Miyazawa,T.,Ikeda,Y.,et al.: "Seroepidemiological survey of feline retrovirus infection in domestic and feral cats in North Vietnam in 1997." Journal of Veterinary Medical Science. 60(12). 1273-1275 (1998)
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[Publications] Miyazawa,T.,Ikeda,Y.,et al.: "Isolation of feline parvovirus from peripheral blood mononuclear cells of cats in northern Vietnam." Microbiology and Immunology. (in press).
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[Publications] Uema,M,Miyazawa,T.,et al.: "Feline immunodeficiency virus subtype C is prevalent in northern part of Taiwan." Journal of Veterinary Medical Science. 61(2). 197-199 (1999)
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[Publications] Ikeda,Y.,Miyazawa,T.,et al.: "Apoptosis in feline panleukopenia virus-infected lymphocytes." Journal of Virology. 72. 6932-6936 (1998)