1999 Fiscal Year Annual Research Report
制度としての文化財と博物館-欧米、特にフランスとの比較社会学的研究-
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09044044
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Research Institution | KWAUSEI GAKUIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
荻野 昌弘 関西学院大学, 社会学部, 助教授 (90224138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 伸彦 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (10242992)
脇田 健一 岩手県立大学, 総合政策学部, 助教授 (00305319)
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Keywords | 博物館 / 文化財 / 負の遺産 / 文化保存 / 観光 / 環境 / 比較社会学 / 戦争遺産 |
Research Abstract |
本年度は、研究の最終年度なので、報告書作成に向けて、過去2年間の調査で欠けていた部分を補足調査しながら、報告書の目次構成案について検討する作業を行った。報告書は、「文化保存の原理」「保存の時代」「文化保存の未来」の3部から成り、第2部は「祭祀と文化財」「負の歴史的遺産」「展示される労働」「観光と衛生」に分けることにした。これに基づき、負の歴史的遺産に関しては、フランスで第1次世界大戦の博物館ペロヌ博物館で聞き取り調査を行ったほか、ナチスによる焼き討ちにあったオランドゥール村(廃墟が保存されている)を視察し、フランスでは負の遺産が人を吸引するのではなく、逆に一種の「サンクチュアリ(聖域)」となることがわかった。また、ポルトガルのリスボンでは、EUの影響で都市の景観が変化していること、フランスなどで押し進められている文化遺産の保存政策の影響があることがわかったほか、イタリアでは、トスカーナ地方のフィレンツェ、ボローニャ、ラヴェンナを調査した結果、各都市でそれぞれ独自の保存政策がされている点を理解することができた。総じて、ヨーロッパといえども、国によって、文化財政策は異なっているという知見を得た。国内では、フランス人研究者(研究協力者)とともに、大塚国際美術館、野島断層保存舘などを調査し、日本とフランス、ヨーロッパにおける文化保存の原理のちがいについて比較研究のまとめを行ったほか、東北、佐渡、足尾において、かつての鉱山遺産がどのようなかたちで保存されようとしているのかについて調査し、まちが自らの共同性を守るため遺産を一種の「バリア」として用いるパターンなどがあることがわかった。
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Research Products
(2 results)