1998 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光新技術を用いた蛋白-蛋白および蛋白-DNA相互作用の動的解析
Project/Area Number |
09044238
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
嶋本 伸雄 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター (20127658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAYWARD Rich 英国エジンバラ大学細胞分子生物学研究所, 教授
CHATTERJI Di インド細胞分子生物学研究センター, 教授
永井 宏樹 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助手 (80222173)
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Keywords | RNA polymerase / major sigma / protein footpronting / omega subunit / Esherichia coli / Bacillus subtilis / transcription initiation |
Research Abstract |
σ^<70>因子は、大腸菌の主要転写開始因子であり、大腸菌の大部分の遺伝子の転写に関わっている。この因子の細胞内の動態を蛍光で観察する最も良い方法はσ^<70>と蛍光を持つように設計したσ^<70>の変異体に入れ替えるととである。このためには、大腸菌のクロモゾーム上で、σ^<70>の遺伝子であるrpoDを破壊した菌株を作製する必要がある。しかし、この試みは20年来多くの研究者によって試みられたが、失敗し続けてきた。ところが、今回我々は初めてrpoDの破壊株を作製することに成功した。成功の理由は不明である。 この株を利用して、まず、20年来の懸案であったいくつかの問題を解決した。第一は、枯草菌の主要σであるSigAがこの破壊株を相補することを証明したことである。しかしやや系統の離れた結核菌の主要σは相補しなかったことから、真菌類における転写におけるプロモーター認識の共通性の範囲が特定できた。第二は、グラム陰性菌の主要σに特有な、酸性残基を含むNC領域の役割を同定したことである。この領域を削除したdelNCσ^<70>変異株は、菌内で働くことができ、昨年度の我々の研究でin Vitroでも、いくつかのプロモーターに対して働くことが明らかになっていた。しかし、共通の保存性と、酸性アミノ酸が集中した特徴ある構造から、この領域は必須であろうとの推定もなされていた。今回、delNCがrpoDの欠損を相補したことから、この領域が必須ではないことが明らかになった。しかし、この相補は、30度以下の低温でのみなされることから、高温ではこの領域が必要なことが明らかになった。 第二の結果と、昨年度得たdelNCがオリゴマーを作って失活することを元に、細胞内でのσ^<70>のオリゴマー状態を調べたところ、37度以上では、野生株σ^<70>でもオリゴマーを形成していることが判明し、σ^<70>が大腸菌の分子温度計となっている可能性を示唆した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] N.Shimamoto: "One dimentional diffusion of proteins along DNA: its biological and chemical significance revealed by single-molecule measurements" J. Biol. Chem.275(in press). (1999)
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[Publications] N.Shimamoto, T.Kasciukovich, H.Nagai, R.S.Hayward: "Efficient solubilization of proteins overproduced as inclusion bodies by use of an extreme cncentration of glycerol." Tech. Tips Online. (1999)
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[Publications] R.Sen, H.Nagai, V.J.Hemandez, N.Shimamoto: "Reduction in abortive transcription from the λPR promoter by mutations in region 3 of the σ70 subunit of E. coli RNA polymerase" J. Biol. Chem.273. 9872-9877 (1998)
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[Publications] H.Nagai, N.Shimamoto: "Most conserved regions of the E. coli primary sigma factor are involved in interaction with RNA polymerase core enzyme." Gene. Cells.2. 725-734 (1998)
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[Publications] 嶋本伸雄,杵渕 隆: "DNA上のタンパク質の滑り運動 : DNA結合蛋白質の遠攻近交戦略" 科学. 69. 42-50 (1999)
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[Publications] 杵渕 隆,嶋本伸雄: "DNA上におけるタンパク質のスライディング" 化学と生物. 36. 278-280 (1999)
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[Publications] 嶋本伸雄,郷 通子: "遺伝子の構造生物学" 共立出版, 196 (1998)