Research Abstract |
武道は,起源を中国にもち,日本に伝播,競技化されたスポーツであり,現在幅広い年齢層に親しまれておこなわれている。武道は他のスポーツと比較し,独自の文化性をもつといえ,その要因のひとつに,運動実践と人間の内面(精神性)を深い関係でとらえていることが考えられる。その点について,以下のように多面的に検討した。 (1) 名辞「武道」について 武道という名辞は,歴史的に意味が変化しているが,運動形態を示す意味と内面の精神性を示す意味があり,二重の意味をもつことばとして使用されている。 (2) 修行について 武道の実践は,修行とよばれる。修行は元来仏教のことばであり,きびしい拘束を自分の心身に課し,より良い生き方に至ろうとする意味である。 (3) 武道の精神性について 武道の実践においてはさまざまな精神性がいわれる。大別すると,実践に則した精神性として「無心」,「明鏡止水」や「気力」などであり,武士道の影響をうけた道徳的精神性として「礼儀」,「質実」などである。 (4) 稽古について 武道の実践は稽古といわれ,トレーニングということばの示す意味と異なる意味をもつ。稽古の特徴としては,「専念・集中」の強調,「型」の遵守,「反省・工夫」の奨励,「無心・無欲」の強調がいえる。 なお,中国・吉林師範学院,李宏玉講師を招聘し,山形大学においてセミナーを開催した。李講師には,陸上競技の十種競技における評価について,採点基準の変化が,取得得点に与える影響について発表していただき,研究分担者のみならず,専攻学生参加のもと活発な討論がなされた。
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