1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09231201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市原 耿民 北海道大学, 農学部, 教授 (20000820)
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Keywords | 植物毒素 / コロナチン / コロナファシン酸 / コロナミン酸 / ジャスモン酸 / タキソ-ル |
Research Abstract |
植物病原菌由来の植物毒素類は病徴の発現に関わるばかりでなく、植物調節物質など多様な生理活性を示すことで注目されている。具体的にはバレイショ細胞の肥大や塊茎誘導活性を持つコロナチンやトマトの宿主特異的毒素であるAAL-毒素を対象にこれらの高効率合成法の開発を目的として以下の成果を上げた。 コロナチンは牧草イタリアンライグラスかさ枯病菌の産生毒素で、他の数種の細菌病菌も同じ毒素を生産している。コロナチンの化学構造は分光学的データ、化学反応、合成、X-線構造解析などにより決定したが、インダノン骨格を有するコロナファシン酸とアミノ酸であるコロナミン酸がアミド結合した特異な化合物である。最近コロナチンは植物ホルモンとして認識されつつあるジャスモン酸との構造ならびに生理活性との類似性が指摘され、コロナチンの方が高い活性を示すことから、ジャスモン酸の関与する生理現象を解明するための最も重要なプローブ化合物と考えられる。応用面ではセイヨウイチイの植物体をコロナチン処理することにより、抗癌剤タキソ-ルの生産性向上に役立つことも明らかとなった。シクロペンテノンを出発物質として、柴崎らの開発した不斉マイケル反応により9段階、通算収率25%で光学純度98%以上のコロナファシン酸を得ることに成功した。コロナミン酸はRーリンゴ酸より環状サルフェートを経て通算収率30%で(+)-コロナミン酸を得ることが出来た。最後にコロナファシン酸とコロナミン酸を水溶性ジアルキルカルボジイミドを縮合剤としてアミド化し、保護基を除去して高収率でコロナチンを合成した。この合成法により幅広い生物活性試験が可能となった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] A.ICHIHARA: "Biosynthesis of Phytotoxins from Alternaria solani" Biosci.Biotech.Biochem.61・1. 12-18 (1997)
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[Publications] 市原耿民: "ディールスアルダー反応を触媒する酵素" ファルマシア. 33・8. 879-883 (1997)
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[Publications] H.OIKAWA: ":Biosynthesis of Macrophomic Acid" J.Chem.Soc.Chem.Commun.97-98 (1997)
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[Publications] S.NARA: "Asymmetric Total Synthesis of(+)-Coronafacic Acid and(+)-Coronatine" Tetrahedron. 53・28. 9509-9524 (1997)
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[Publications] H.TOSHIMA: "Efficient Synthesis of the OPC Homologous Series" Biosci.Biotech.Biochem.61(印刷中). (1997)
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[Publications] H.OIKAWA: "Synthetic Study of Tautomycetin" Tetrohedron Lett.(印刷中). (1997)
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[Publications] A.ICHIHARA: "in Ed,K.Ogura and U.Sankawa,Dynamic Aspects of Natural Products Chemistry" Koudannsya Scientitic, 25 (1997)
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[Publications] 市原 耿民 編著: "植物病害の化学" 学会出版センター, 290 (1997)