1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09241102
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河田 聡 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30144439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 裕和 山梨大学, 工学部, 助教授 (10165574)
柳田 敏雄 大阪大学, 医学部, 教授 (30089883)
梅田 倫弘 東京農工大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60111803)
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Keywords | フォトン力学 / 金属化カンチレバー / コントラスト特性 / 全反射顕微鏡 / 1分子蛍光測定 / トロポニンC / エバネッセント波の量子化 / 原子スピン偏極 |
Research Abstract |
河田は、原子間力制御による金属化カンチレバーを用いたニアフィールド光学顕微鏡の開発を行った。照明光学系に、油浸対物レンズを用い、開口数(NA)1.0以下の成分を遮光することで、プローブ先端以外からの反射光を完全に除去することを実験的に明らかにした。さらに、蛍光試料に対して、プローブ-試料間距離が50nmより近づいたときに、蛍光が急峻に励起されることを示した。また、誘電体基板の表面に高屈折率の誘電体の2本の細線が埋め込まれているフラットな試料を仮定し、3次元のFinite Difference Time Domain法を用いたシミュレーション計算により、ニアフィールド光学像におけるコントラスト特性の物質による違いを明らかにした。高屈折率部において大きな強度が得られ、また、誘電体試料に対しては線形な応答を示すことを明らかにした。さらに、Deconvolutionを用いることで、物質分布の回復が可能であることを示した。 梅田は、エバネッセントフォトン力の解析及びその特性を明らかにするために、光ファイバーカンチレバーによる直接検出を試みた結果、10〜100pNオーダーのエバネッセントフォトン力の界面方向成分の検出に成功した。その特性は、電磁場理論に基ずく定量的解析とほぼ同じ振る舞いを示すことが明らかになった。また、エバネッセントフォトン力を指標としてシアフォース力の解明に有用であることが期待できる結果が得られた。 柳田は、全反射型のエバネセント蛍光顕微鏡により、水溶液中の蛍光1分子の発光スペクトルの測定、さらに、2種の蛍光分子間の共鳴エネルギー移動の検出法を開発した。筋肉収縮の調節タンパク質であるトロポニンCを蛍光標識し、蛍光スペクトルの時間変化と、分子内蛍光共鳴エネルギー移動を1分子測定した。その結果、蛋白質分子が秒の時間スケールでいくつかの立体構造のあいだを往復していることが示唆された。 堀は、原子レベルのフォトン力学では、ニアフィールド原子・フォトン共鳴相互作用での擬角運動量移行の実験的検証と、場の量子論的理論を研究し、デュアルモード冷却CCDカメラによるナノ空間選択的で原子スピン検出可能な、微量生成イオン2次元高感度位置敏感検出装置開発と、検出器モードによる新しい場の第二量子化を行った。
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[Publications] H.Furukawa and S.Kawata: "Local field enhancement with an apertureless near-field-microscope probe" Opt.Commun.148. 221-224 (1998)
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[Publications] H.Kano,S.Mizuguchi,and S.Kawata: "Excitation of surface-plasmon polaritons by a focused laser beam" J.Opt.Soc.Am.B.15. 1381-1386 (1998)
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[Publications] N.Umeda,H.Iijima,M.Ishikawa,and A.Takayanagi: "Birefringence imaging with illumination mode near field scanning optical microscope" Proc.SPIE. 3467. 13-17 (1998)
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[Publications] C.Shingyoji et al: "Dynein arms are oscillating forcegenerators." Nature. 393. 711-714 (1998)
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[Publications] K.Kitamura et al: "A single myosin head moves along an acitin filament with regular steps of 5.3nm." Nature. 397. 129-134 (1999)
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[Publications] T.Matsudo,Y.Takahara,H.Hori,T.Sakurai: "Pseudomomentum transfer from evanescent waves to atoms measured by saturated absorption spectroscopy" Opt.Commun. 145. 64-68 (1998)
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[Publications] 河田 聡編著: "超解像の光学" 学会出版センター, (1999)
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[Publications] 河田 聡: "SPRINGER-VERLAG、TOKYO出版" 生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法, 268 (1998)