1997 Fiscal Year Annual Research Report
性ステロイドホルモンによる脳の性分化の分子メカニズム
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09259211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 茂明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (60204468)
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Keywords | 神経可塑性 / 性ステロイドホルモン / 1次標的遺伝子群 / Differential Display法 / エストロゲンレセプター / 核内レセプター共役因子 / アンドロゲンレセプター |
Research Abstract |
本研究では神経可塑性を性ステロイドホルモンによる脳の性分化という側面から捉え、以下の3点に焦点を当て、特に脳で特異的に発現する性ステロイドホルモンの1次標的遺伝子群の検索を試みた。 1)脳内で特異的に発現する性ステロイドホルモン標的遺伝子群の検索:出生直後の実験動物に大量の性ステロイドホルモンを投与すると、その後の性行動に性転換が見られる。そこでこのような性ステロイドホルモンの効果が見られる胎児あるいは出生直後のラットを用い、大量の性ステロイドホルモン投与直後の脳より、急速に誘導される標的遺伝子群をDifferential Display法(D.D.法)にて検索した。同時にこの時期での野生型ラットを用い、雌雄いずれか特異的に発現する遺伝子を同様の手法で検索した。得られたcDNAクローンは定法に従い、コードするタンパクの機能や脳内での局在をin situ法などにより調べた。 2)新たなエストロゲンレセプター(ERβ)の脳での発現部位の同定:既知のエストロゲンレセプター(ERα)の発現部位は、視床下部、下垂体等に限定されており、内分泌系でのエストロゲン作用を裏付けるものであった。そこで既にPCR法によって取得したラットERβcDNAを用い、脳の各部位での発現を検討した。 3)脳特異的な核内レセプター共役転写因子の検索:核内レセプターは転写制御因子として作用する時には、いわゆる共役転写因子とともに転写制御を行うと考えられる様になってきている。そこで脳特異的な核内レセプター共役因子を、ER及びアンドロゲンレセプター(AR)をプローブに酵母two-hybridシステムにより脳由来cDNAライブラリーより検索した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Takeyama,K., Kato,S., et al.: "25-Hydroxyvitamin D_3 1α-hydroxylase and vitamin D synthesis." Science. 277. 1827-1830 (1997)
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[Publications] Yoshizawa,T., Kato,S., et al.: "Impaired bone formation and uterine hypoplasia with growth retardation after weaning in mice lacking the vitamin D receptor." Nature Genetics. 16. 391-396 (1997)
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[Publications] Fujii,H., Kato,S., et al.: "Metabolic inactivation of retinoic acid by a novel P450 differentially expressed in developing mouse embryos." EMBO J.16. 4163-4173 (1997)
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[Publications] Yamauchi,J., Kato,S., et al.: "Two forms of avian(chicken)TATA-binding protein mRNA generated by alternative polyadenylation." Biochem.Biophys.Res.Commun.234. 406-411 (1997)
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[Publications] Kitanaka,S., Kato,S., et al.: "A new compound heterozygous mutation in the 11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 2 gene in a case of apparent mineralocorticoid excess." J.Clin.Endocrinol.Metab.82. 4054-4058 (1997)
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[Publications] Endoh,H., Kato,S., et al.: "Rapid activation of MAP Kinase by estrogen in the bone cell line." Biochem.Biophys.Res.Commun.235. 99-102 (1997)
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[Publications] 加藤茂明: "内分泌・代謝疾患(別冊・医学のあゆみ):ステロイド受容体スーパーファミリー" 医歯薬出版株式会社, 566 (1997)
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[Publications] 加藤茂明: "炎症と抗炎症戦略:ステロイド薬・基礎" 医薬ジャーナル社, 831 (1997)