1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09280209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒川 義弘 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助教授 (50282562)
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Keywords | 運動神経 / 神経栄養因子 / ニワトリ / 培養 / CNTF / FGF / IGF-I / GDNF |
Research Abstract |
運動神経細胞に対する神経栄養因子は、いずれも既知因子の中から見いだされているが、生物材料の方から新親因子が単離されたという報告はない。そこで、我々が開発したニワトリ胚運動神経細胞の純粋培養系を用いて、運動神経細胞に対する新規栄養因子を広く組織から探索することとした。まず発達段階の各種組織より抽出液を作成し、活性を評価した。その結果、骨格筋を上回る比活性が存在する組織を見いだした。この活性の発現の発達変化を調べてみると、E11以降で括性が見られ、E20で最大活性となり、成体でもE20の約1/2の比活性が存在することが明らかとなった。また、この活性は骨格筋抽出液よりも長期に運動神経細胞を生存させることができた。現在までの解析では、主な活性の分子量は20-60kDa、pIは4.8(4.4-5.3)、heparin affinity columnにはほとんど結合しないこと等が明らかとなっている。 ニワトリ運動神経細胞の神経栄養因子として、既知因子の中から既に明らかとなっているものにCNTF,basic FGF,IGF-I,GDNFなどがある。このうち、FGFはheparin affinity columnに結合することからこの活性因子の候補から除外できると考えられる。CNTFとGDNFには相加効果があることを確認しているが、抽出液の陰イオン交換カラムでの主活性画分はCNTFとの相加効果は見られないため、GDNFの可能性は低いと考えられる。CNTFについてはこの組織での発現の報告はない。しかし、これらの知見は新規性を確認する上でまだ十分な証拠ではないため、さらに既知因子との異同の確認を行い、精製単離を目指す予定である。
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