1998 Fiscal Year Annual Research Report
タウニュートリノの存在の検証とニュートリノ振動による質量の研究
Project/Area Number |
09304031
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹羽 公雄 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60113445)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 光廣 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90183889)
星野 香 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70022738)
|
Keywords | ニュートリノ / タウニュートリノ / クォークレプトン / 素粒子 / 原子核乾板 / ダークマター |
Research Abstract |
CERNの加速器で作るμニュートリノからτニュートリノへの振動を調べるCHORUS実験を進めた。この実験のポイントは原子核乾板中でおこしたニュートリノ反応を分析して、ニュートリノ反応の中にτニュートリノ反応がないかを調べることにある。τニュートリノの判定は短い飛程(約1mm)で崩壊する電荷をもった粒子を伴っていることで識別できる。過去3年間、原子核乾板中に記録された100K例のニュートリノ反応を、当研究室で開発した「飛跡自動読み取り装置」を使って調べ、反応から作られる粒子の中にて粒子と判別された粒子の探査を完了した。その結果100例を超す飛程の短い粒子を検出したが、その中には25例のμ粒子を伴った崩壊をするチャーム粒子を識別したが、しかしτ粒子と判別されるものは1例もなかった。このことからミューニュートリノからτニュートリノに振動した証拠は認められないとの結果を得た。ニュートリノ振動の理論に当てはめて、μニュートリノとτニュートリノとの質量差の2乗が10eV_N以上の領域では2つのニュートリノの混合角の上限値としてsin^2(2θ_<μτ>)=10^<-3>を得た。この結果は過去の上限値を3倍以上改良したものである。 またこの間原子核乾板の飛跡読み取り装置の読み取り速度の向上に取り組み、飛跡認識プロセッサーの開発に成功した。今回開発したプロセッサーの処理速度は現システムの約20倍の処理速度である。このプロセッサーは内部クロック125MHzで動作するFPGAとSRAMで作られており、システム当たり40組(高速FPGAとSRAM)を持ち、パソコンに置き換えた場合の処理速度で換算するとpentium(100MHZ)100台に相当する。このプロセッサーを原子核乾板解析装置に組み込んだところ、任意の角度の飛跡全てを読み取ることに使った場合(General scanning)の速度として120×150μm^2当たり0.3秒を達成した。この速度を得たことで原子核乾板を飛跡検出器として汎用的に使う可能性を大きく切り開いたことになる。
|
-
[Publications] S.Aoki: "Quaifree p(K・,K^+)Ξ^+ reaction in nuclear emulsion" Nuclear Physics. A644. 365-385 (1998)
-
[Publications] E.Eskut: "Search for Search for ν_μ→ν_τ using the τ decay modes into a single charged particle." Phys.Lett.B434. 205-213 (1998)
-
[Publications] P.Annis: "Obersvation of neutrino induced diffractive D_s^<*+> production and subsequent decay D_s^<*+>→D_S^+→τ^+→μ^+" Phys.Lett.B435. 558-464 (1998)
-
[Publications] E.Eskut: "A search for ν_μ→ν_τ oscillation" Phys.Lett.B424. 202-212 (1998)