1999 Fiscal Year Annual Research Report
物質(アルコール、覚醒剤)依存及び関連神経障害の脳の病態における分子生物学的研究
Project/Area Number |
09307018
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
洲脇 寛 香川医科大学, 医学部, 教授 (10033367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 重利 岡山大学, 医学部, 教授 (00093683)
竹内 義喜 香川医科大学, 医学部, 教授 (20116619)
森本 清 香川医科大学, 医学部, 講師 (20166432)
福井 義浩 徳島大学, 医学部, 教授 (50144168)
徳永 叡 岡山大学, 医学部, 教授 (40009634)
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Keywords | アルコール / CaM-kinase / FAS / メタンフェタミン / GABA(A)レセプター / Syaptophysin / 逆耐性現象 / 腹側被蓋野 |
Research Abstract |
アルコール依存症モデル実験動物では急性実験で視床下部(PVN、SCN)におけるCaイオンの神経細胞内への流入がアルコールにより障害され、Ca dependent kinase IIIの作用する物質の存在を示された。また、SCN領域では特にGFAP強陽性所見が認められ神経細胞よりアストログリア細胞の反応が強くみられた。慢性実験でマウス海馬においてCaM-kinase IVおよびCaM-kinase kinase ともに有意に減少していた。一方、海馬におけるGluR2サブユニットの発現量は有意に増加した。また、カルシウムの流入に関連するQ/Rサイトは100%editされており、カルシウムの流入とは直接関係がないことが伺われた。脱感作時間に関連するR/Gサイトはeditされたものの割り合いが増加しており、脱感作時間の短縮が起きているレセプターの多いことが示された。胎児アルコール症候群(FAS)ラットにおける大脳皮質内異所性細胞塊はヒトでも大脳皮質に存在し、これらは脳軟膜のとぎれたところにあることが明らかになった。 メタンフェタミン(METH)依存症モデル実験動物では、GABA(A)レセプター結合[35S]TBPSにより、大脳皮質第IV層、海馬および小脳の分子層に強いレセプター結合活性が認められた。また、急性投与実験ではsynaptophysin mRNAが線条体、側坐核、海馬(CA1、3)、大脳皮質(前頭葉)で有意に増加したが、慢性反復投与実験では変化がなく、synaptophysinがMETHによる逆耐性現象を含む神経可塑性の形成期に重要な役割を果たしていた。さらに、中脳辺縁系ドーパミン神経路の起始部である腹側被蓋野(VTA)が逆耐性現象の成因として重要な役割を果たしていた。一方、海馬領域ではHRP反応産物が血管内皮細胞および血管周囲のグリア細胞に取り込まれており、明らかにこの領域で血管透過性が亢進していた。
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[Publications] Takemi Watanabe: "Amygdala-kindled and pentylenetetrazole-induced seizures in glutamate transporter GLAST-deficient mice."Brain Research. 845. 92-96 (1999)
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[Publications] Masazumi Kodama: "Effects of YM90K,a selective AMPA receptor antagonist,on amygdala-kindling and long-term hippocampal potentiation in the rat."European Journal of Pharmaology. 374. 11-19 (1999)
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[Publications] 森本 清: "精神分裂病周辺群の脆弱性-妄想性障害のドパミン機構と分子遺伝学-"脳と精神の医学. 10・2. 139-152 (1999)
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[Publications] 中村 和彦: "アルコール関連脳障害とアセトアルデヒドアダクトについて"アルコールと医学生物学. 19. 90-95 (1999)
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[Publications] Irawan Satriotomo: "Effect of short-term ethanol exposure on the suprachiasmatic nucleus of hypothalamus : immunohystochemical study in mice."Brain Research. 847. 124-129 (1999)
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[Publications] Miki T.: "The effect of the timing of ethanol exposure during early postnatal life on total number of Purkinje cells in rat cerebellum."J.Anat.. 194. 423-431 (1999)
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[Publications] Yamada N.: "The role of perirhinal cortex as an excitatory relay poiut in kindling secondary generalization."Abstr Soc Neurosci. 25. 544.19 (1999)
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[Publications] 氏家 寛: "逆耐性現象において神経回路網の再構築は生じているのか?"日本神経精神薬理学雑誌. 19. 47-52 (1999)
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[Publications] 氏家 寛: "成因論一神経化学的側面"臨床精神医学講座(薬物アルコール関連障害). 8. 55-73 (1999)