1999 Fiscal Year Annual Research Report
持続的農業経営システムの確立と食糧供給力への影響予測
Project/Area Number |
09356006
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
黒河 功 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (90125310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯澤 理一郎 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60184339)
近藤 巧 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40178413)
長南 史男 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00113697)
橋本 雄一 北海道大学, 文学部, 助教授 (90250399)
志賀 永一 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50235511)
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Keywords | 持続的農業 / 食料供給力 / 代替技術 / 有機農法 / GIS / 有機農産物認証制度 / 規制・課税・補助 |
Research Abstract |
本研究では、有機農法の草分け的な存在で長年に亘って実践している経営、地域ぐるみで有機・循環農業を促進してきた農協の存在に着目し、これらの先駆的農場を実証農場とし、その農法システムの経営経済的な評価を試みた。農学サイドからの支援を得て、病虫害の制御可能性、経営総体のエネルギー収支分析、外部性(経済と不経済の両側面)の経済問題について実証的に研究した。具体的に、酪農経営では、低乳量であっても放牧を取り入れた飼養方法が循環機能を最大限発揮できる。稲作経営においては除草・防虫作業において労働多投となるために、労働と機械の代替技術の開発が急務であること、農薬の代替資材費用が現行水準よりも低下すれば単収の不安定性などの問題を解決できることを示している。大規模機械化が進展した北海道畑作では、野菜作が導入されることによって、持続的な土地利用に寄与してきた輪作体系が崩れる傾向にあり、より精緻な土地利用管理手法開発の余地がある。また、計画防除による化学投入財の過剰投入を避けるためには、病虫害の予察情報利用システムが有効である。さらに、持続的農業を推進するための制度的・政策的な要件について分析し、有機農産物の認証制度、課税と補助金の有効性について明らかにした。最終年度としては、実証農家におけるデータの積み上げのほか、GISによるデータ・ベース化、それを基にしたGIS解析の適用によって、外部不経済の定量化を行った。食料自給率は、現在の農家の経営形態が単一経営が支配的であるため低投入・低産出を前提とする限り低下すると予測された。しかし、家畜糞尿をはじめ、稲わら、林地、その他の未利用資源を有効利用を促進する技術開発や精密農業などの技術革新が実用化されれば食料供給低下への影響は緩和すると考えられた。この点に関してはさらなる検討が必要である。
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