2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原菌プロテアーゼを標的とした歯周病治療薬の設計と開発
Project/Area Number |
09357017
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 健二 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (40091326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅尾 哲次 大鵬薬品工業株式会社, 創薬センター合成研究所, 所長(研究職)
赤峰 昭文 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (00117053)
中西 博 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20155774)
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Keywords | 歯周病 / 病原性細菌 / グラム陰性嫌気性細菌 / ジンジバリス菌 / Arg-gingipain / システインプロテアーゼ / 放線菌 / 新規阻害物質 |
Research Abstract |
歯周病の主要な病原性細菌Porphyromonas gingivalis(以後ジンジバリス菌)は主要なシステインプロテアーゼArg-gingipain(Rgp)を産生している。本酵素は多様な宿主タンパク質を分解して歯周病の発症や進展に深く関与する一方、菌自身の成長・増殖に必須のアミノ酸・ペプチドやヘムの獲得や宿主接着に必須の菌体表層タンパク質のプロセシングに関与していること等が明らかにされている。そこで、本年度の研究は、昨年度に引き続き、本酵素に対する特異的阻害剤を開発し、それらの有効性を検定するとともに歯周病治療薬として実用化していくための具体的な方法論が検討された。天然土壌より多くの微生物を分離し、それらが生産する代謝産物についてRgpを阻害する物質の探索を続けたところ、放線菌に属するFA-70株の培養物中に本酵素活性を阻害する物質が生産されていることを見い出した。その阻害物質(FA-70C1と命名)を単離し構造を決定した。本物質は構造式C_<27>H_<43>N_9O_7で表され、分子量606の新規物質であった。FA-70C1はRgp活性を10^<-8>Mで80%以上阻害するのに対し、宿主のシステインプロテアーゼのカテプシンB、L、K、Sは同じ濃度で50%以下しか阻害されなかった。さらに、FA-70C1はRgpによるタイプIコラーゲンや免疫グロブリンの分解を強く阻害するとともに、Rgpによる歯肉線維芽細胞傷害活性を強く抑制した。一方、歯周病モデル動物の作成を試み、ハムスターにニフェジピンを投与して歯肉肥厚を誘導し、歯周ポケットにジンジバリス菌を一日2回接種して経過観察を行った。現在、肉眼的観察とともに、組織学的ならびに生化学的解析を行って、これらが歯周病モデルとして認定できるかどうか検討中である。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 山本健二: "歯周病原細菌のタンパク質分解酵素を介する生存戦略"蛋白核酸酵素. (印刷中). (2001)
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[Publications] Baba A. et al.: "Arg-ginipain is Responsible for degradation of cell adhesion molecules of human gingival fibroblasts and their death induced by porphyromonas gingivalis"Biol.Chem.. (in press). (2001)
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[Publications] Kadowaki T. et al.: "Porpyromonas gingivalis proteinases as virulence determinants in progression of periodontal diseases."J.Biochem.. 128. 153-159 (2000)
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[Publications] Abe N. et al.: "Design and synthesis of sensitive fluoregenic substrates specific for Lys-gingipain."J.Biochem.. 128. 877-881 (2000)
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[Publications] Morikawa W. et al.: "Angiostatin generation by cathepsin D secreted by human prostate carcinoma cells."J.Biol.Chem.. 275. 38912-38920 (2000)
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[Publications] Kitano S. et al.: "Suppression of gingival inflammation induced by Porphyromonas gingivalis in rats by leupeptin."Jpn J.Pharmacol.. 84. 54-91 (2000)
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[Publications] 山本健二: "歯周病の分子機構:病原性プロテアーぜの機能はどこまで明らかにされたか"細胞工学. 19. 295-301 (2000)
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[Publications] 山本健二: "酵素ハンドブック"朝倉書店(印刷中). (2001)
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[Publications] 山本健二: "「大学と科学」公開シンポジウム"クバプロ(印刷中). (2001)
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[Publications] 山本健二: "歯周病とプロテアーゼー歯周病原細菌のヘムおよびアミノ酸獲得機序タンパク質分解一分子機構と細胞機能"シュプリンガー・フェアラーク東京. 185-192 (2000)