2000 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌O157の増殖に対する食品成分の影響に関する研究
Project/Area Number |
09358001
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
横井川 久己男 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (60230637)
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Keywords | 大腸菌O157 / 食品衛生 / 酸耐性 / 香辛料 |
Research Abstract |
遺伝的に多様な大腸菌O157を用いて、食品中での増殖挙動と本病原菌の高い感染力と相関する酸耐性について検討を行った。各種食品中の中で香辛料であるナツメグ抽出液中において、非病原性大腸菌の生細胞は影響を受けず、大腸菌O157の生細胞数が著しく低下するという興味深い結果が得られた。逆に、オールスパイス、スターアニス、シナモンの水抽出液に対して、大腸菌O157株は非病原性大腸菌より高い耐性を有することも明らかとなった。 牛肉、野菜類中での増殖においては、大腸菌O157と非病原性大腸菌の間に有意な差は見られなかったが、食品の種類によって増殖曲線は異なった。牛乳では、各大腸菌細胞を接種して10℃でインキュベーションした時、保存3日目以降に大腸菌O157は非病原性大腸菌に比べ著しく増殖した。 大腸菌O157の酸耐性は、増殖温度と増殖段階の違いによって大きく変動した。増殖温度25℃では野菜類、牛肉、牛乳のいずれの食品中でも、大腸菌O157の酸耐性は培養時間の延長と共に増加したが、増殖温度10℃では、増殖段階にかかわらず低い酸耐性を示した。以上の結果から、大腸菌O157によって汚染された食品の危険性は、保存温度の低下により軽減されるが、保存温度が高い場合には保存日数の延長と共に増大すると考えられた。また、大腸菌O157の感染源として最も頻度の高い牛肉や牛乳は、本菌の酸耐性を高める食品ではなく、低い経口感染量に関連する食品ではないと考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yoko Okubo: "High Catalytic Activity of Alanine Racemase from Psychrophilic Bacillus psychro-saccharolyticus at High Temperatures in the Presence of Pyridoxal 5'-phosphate."FEMS Microbiol.Lett,. 192. 169-173 (2000)
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[Publications] Reiko Hirasawa: "Leavening Ability of Bakers' Yeast Exposed to Hyperosmotic Media."FEMS Microbiol.Lett. 194. 159-162 (2001)
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[Publications] Reiko Hirasawa: "Loading of Bakers' Yeast with Trehalose for Improvement of Its Freeze-tolerance."Biosci.Biotechnol.Biochem.. 65. 522-526 (2001)
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[Publications] Kumio Yokoigawa: "Structure and function of Psychrophilic Alanine Recemase."J.Mol.Cat.B:Enzymatic. (印刷中).