1997 Fiscal Year Annual Research Report
天然並びに合成糖鎖化合物(ネオグリコ化合物)の生物活性の探索と臨床応用の開発
Project/Area Number |
09359001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
斎藤 政樹 北海道大学, 医学部, 教授 (60012762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薮中 宗之 北海道大学, 医学部, 助手 (70240637)
石井 睦 北海道大学, 医学部, 助手 (20232225)
大田 雅嗣 北海道大学, 医学部, 助教授 (90160514)
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Keywords | ガングリオシド / ヒト骨髄性白血病 / 分化誘導・増殖抑制 / 合成シアロ糖化合物 / シアロコレステロール / シアル酸転移酵素-1 / 光学異性体β-アノマー / II型膜蛋白質 |
Research Abstract |
本年度は以下の諸点を明らかした:(1)ガングリオシドGM3は非リンパ性白血病(ANLL)細胞に対して増殖抑制と単球系分化誘導活性を有する。合成N-アセチル型GM3に天然GM3に匹敵する活性が認められた。一方、顆粒球系分化で特徴的に増加するネオラクト系ガングリオシドよりHL-60細胞は増殖抑制を受け顆粒球系分化する。これらはANLL細胞の分化方向決定におけるガングリオシド糖鎖構造の特異性を強く示唆する。(2)顆粒球系分化誘導剤レチノイン酸耐性変異株は親株に比べ、ネオラクト系ガングリオシド分子種が著明に減少している。一方、ネオラクト系ガングリオシド存在下で顆粒球系分化する。これはネオラクト系ガングリオシド合成が顆粒球系分化に基本的に重要であることを示唆すると同時に、この現象は薬剤耐性白血病をガングリオシドで治療し得る可能性と、シアロ糖脂質及び合成類縁体の臨床薬剤としての開発の意義を示唆する。(3)化学合成可能となった多種類の脂質性シアロ糖化合物のうち、α-シアロコレステロールに分化誘導・増殖抑制活性が見出され、光学異性体β-アノマーの活性は極めて弱いことが判明した。遊離シアル酸のみでは効果がない事から、増殖抑制・分化誘導には糖鎖部分と共に脂質性疎水部分が必須と考えられ、シアル酸結合様式は天然型αグリコシド結合が要求されることが示唆された。シアロコレステロールはレチノイン酸耐性株に対しても分化誘導・増殖抑制作用をもつ事から、細胞膜に直接作用して膜構築不全を改善する治療薬開発、特に薬剤耐性克服への新しい可能性が示唆された。(4)ガングリオシドGM3合成酵素(シアル酸転移酵素-1)の遺伝子クローニングに世界で初めて成功した。この遺伝子がコードする糖転移酵素の分子構造、生物活性を解析し、今までにクローニングされているシアル酸転移酵素に比べ、興味ある様々な特徴を見出した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nakamura,M., Saito,M., et al.: "Rapid Internalization of Exogenous Ganglioside GM3 and Its Metabol-ism to Ceramide in Human Myelogenous Leukemia HL-60 Cells ----" FEBS Lett.400. 350-354 (1997)
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[Publications] Nakamura,M., Saito,M., et al.: "CMP-NeuAc:Gal β1→4GlcNAc α2→6Sialyltransferase Catalyzes NeuAc Transfer to Glycolipids." J.Lipid Res.38. 1795-1806 (1997)
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[Publications] Ohta,M., Saito,M., et al.: "Suppression of Hematopoietic Activity in Tenascin-C-Deficient Mice." Blood,. (in press). (June 1) (1998)
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[Publications] Ishii,A., Saito,M., et al.: "Expression Cloning and Molecular Characterization of Human Ganglios-ide GM3 Synthase(Sialyltransferase-1.CMP-N-acethylpeuraminic---" Nature. (in revision). (1998)
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[Publications] Mei Xu, Saito,M., et al.: "A Severe Clinical Phenotype of Maroteaux-Lamy Syndrome Caused by A Nonsense Point Mutation in Arylsulfatase B Gene." Human Genet.(in press). (1998)
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[Publications] 斎藤政樹: "糖鎖生物学(蛋白質核酸酵素増刊号)" 共立出版株式会社(印刷中), 250 (1998)
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[Publications] 斎藤政樹: "医科分子生物学 改訂第3版(村松正美、谷口維紹編)" 南江堂, 501 (1997)