1998 Fiscal Year Annual Research Report
天然並びに合成糖鎖化合物(ネオグリコ化合物)の生物活性の探索と臨床応用の開発
Project/Area Number |
09359001
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
齋藤 政樹 国立がんセンター, 研究所・ウイルス部, 部長 (60012762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 和洋 国立がんセンター, 研究所・ウイルス部, 主任研究官 (80251502)
石井 睦 国立がんセンター, 研究所・ウイルス部, 主任研究官 (20232225)
濱中 裕一郎 国立がんセンター, 研究所・ウイルス部, 主任研究官 (40189618)
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Keywords | ガングリオシドGM3 / 白血病分化誘導 / ガングリオシド類縁体 / シアロジグリセリド / シアロコレステロール / シアル酸転移酵素-1 / 光学異性体β-アノマー / ゲノム構造 |
Research Abstract |
平成10年度は以下の諸点を明らかした:(1)ガングリオシドGM3及び脂質性シアロ糖化合物の増殖抑制・分化誘導活性の分子機構と脂質性疎水部分の必須性の検討:脂肪酸部位を飽和脂肪酸Cl6:0(パルミチン酸)及びC18:0(ステアリン酸)に限定した合成N-アセチル型GM3のヒト骨髄性白血病細胞に対する分化誘導活性は、天然GM3(脂肪酸部位は主としてC18:1,C18:2及びC24:1)の65-75%であた。ガングリオシド糖鎖構造の特異性ばかりでなく、脂質部分の物性(‘柔らかさ'等)が生物活性発現に重要であることが示唆された。(2)ガングリオシド合成類縁体の臨床薬剤としての開発意義:ガングリオシドGM3及びα-シアロコレステロール、αシアロジグリセリドの、担癌ヌードマウス(HL-60,KG-1,K562,ML-1などを背部及び大腿部皮下に摂取し継代可能にしたもの)に対する経静脈点滴投与は、殆ど抗腫瘍効果を示さなかった。詳細は不明だが、これらの糖脂質化合物が腫瘍部位に到達する前に血清アルブミン分画にトラップされてしまうことが主原因と想定された。リポソーム等に組み込んだ製剤の開発が必要である。なお、α-シアロコレステロール、αシアロジグリセリド両者にはアポトーシス誘導機能が明確に証明された。(3)天然型αグリコシド結合の要求性と生物活性:全ての化合物について、光学異性体β-アノマーの活性は極めて弱いことが判明し、シアル酸結合様式は天然型αグリコシド結合が要求されることが示唆された。(4)ガングリオシドGM3合成酵素(シアル酸転移酵素-1)遺伝子に関する分子生物学とその応用開発:ヒト遺伝子のcDNA及びゲノム構造(7つのエクソンからなり、転写は第2エクソンから始まる)を決定した。また発現蛋白(酵素)の分子構造の特性、酵素の基質(単糖ドナーの受容体)を決定し、生物機能探索の一環として、細胞レベルでの遺伝子ノックアウト(両アリールの破壊)実験を開始した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ohta,M.,Saito,M.,et al.: "Suppression of Hematopoietic Activity in Tenascin C Deficient Mice." Blood;. 91. 4074-4083 (1998)
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[Publications] Ishii,A.,Saito,M.,et al.: "Expression Cloning and Functional Characterization of Human a cDNA for Ganglioside GM3 Synthase." J.Biol.Chem.,. 273. 31652-31655 (1998)
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[Publications] Ishii,A.,Saito,M.,et al.: "Molecular characterization of ganglioside GM3 Synthase(CMP-NeuAc:Galβ1-4G1cβ1-1'Cer α2,3-sialyltransferase)from mammalians." J.Biol.Chem.,. (in press). (1999)
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[Publications] Matsuda,K.,Saito,M.,et al.: "HIV Induction from Latently Infected Cells by Phosphoglycolipid Antigens of Mycoplasma fermentans." Infect.Immun.,. (in press). (1999)
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[Publications] Mei Xu,Saito,M.,et al.: "A Severe Clinical Phenotype of Maroteaux-Lamy Syndrome Caused by A Nonsense Point Mutation in Arylsulfatase B Gene." Human Genet.(in press). (1999)
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[Publications] 齋藤政樹: "糖鎖生物学(蛋白質核酸酵素,43巻,増刊号)" 共立出版株式会社, 250 (1998)
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[Publications] 畠 清彦,齋藤政樹: "白血病の分化誘導療法,造血幹細胞-分子から臨床まで-" 南江堂(三浦恭定編), 300 (1998)