1999 Fiscal Year Annual Research Report
埋蔵文化財発掘作業の生体負担解明とその対策に関する研究
Project/Area Number |
09400013
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
井奈波 良一 岐阜大学, 医学部, 助教授 (10168411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲野 嘉映 岐阜大学, 医学部, 助手 (90220855)
高田 晴子 岐阜大学, 医学部, 助手 (90273143)
岩田 弘敏 岐阜大学, 医学部, 教授 (20021371)
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (70264877)
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
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Keywords | 埋蔵文化財発掘作業 / 夏 / 寒冷紗 / 湿球黒球温度指標 / 服装 / 水分補給 |
Research Abstract |
夏期の埋蔵文化財発掘作業を快適に行うための寒冷紗の効果について検討する目的で、空隙率が同じで遮光率が異なる(22%と51%)の2種類の寒冷紗を夏期の模擬発掘現場で使用した。炎天下と寒冷紗下でWBGT(湿球黒球温度指標)を経時的に測定した結果、寒冷紗下では乾球温度、湿球温度、黒球温度が低く、その結果、寒冷紗下のWBGTは炎天下より低くなっていた。しかし、どちらの寒冷紗を使用しても、そのWBGT低下作用の程度差は殆ど認められなかった。南面以外のダンボールで囲んだ模擬発掘現場では、対照現場より乾球温度、湿球温度、黒球温度の全てが上昇し、その結果、模擬発掘現場のWBGTは対照現場より上昇していた。これに対して上面に張った寒冷紗(遮光率22%)の効果は、みられたがごく軽度であった。しかし、寒冷紗を上面のみならず南面にも張ると、上面のみの場合より乾球温度、湿球温度、黒球温度の全てが上昇し、WBGTも上昇し、寒冷紗の効果が失われた。以上の結果より、夏期の発掘作業における寒冷紗の使用は、夏期の発掘作業を快適に行うための方策のひとつとして効果があることがわかった。しかし、発掘現場における寒冷紗の使用に当たっては現場の風通し等の他の条件にも十分注意する必要がある。次に、新規に発掘を開始した現場の作業員を対象として、夏期の発掘作業を快適に行うための服装、その他の工夫等に関するアンケート調査を行った。夏期の発掘作業を快適に行うための服装の工夫として作業者が行っていた項目の中で最も多かった項目は、男女とも「蓑を背負う」であった。一方、服装以外での工夫で最も多かった項目は、男女とも「頻繁に水分を補給する」であった。また、女性作業者が「頭や首に冷たいものを巻く」割合は、男性より有意に高率であった。
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Research Products
(2 results)