1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09410017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦 雅春 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20193956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 祥一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40262092)
高橋 宗五 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10134404)
石光 泰夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60093366)
小林 康夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60153623)
杉橋 陽一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50015278)
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Keywords | 表象 / 舞台芸術 / 演劇 / パフォーマンス / 舞踊 / 身体表現 / 空間 / 映像理論 |
Research Abstract |
本研究は既存の文化の枠を越え、ますますインター・カルチャー化する時代にあって演劇がどのような変貌を遂げつつあるのかを総合的に分析・考察することを目的としている。本年度はその前提としてできる限り内外の近・現代演劇に関わる資料を収集し、それらを電子メディアとして整理するための基礎的な作業を行った。具体的には、それらの資料を基にヨーロッパ近代演劇の成立を演劇理論、劇場、舞台表象の視点から分析し、統合的な理論的枠組みの構築に努力した。 また、こうした理論的考察と平行して、研究で得られた知見を社会に還元することをめざして、本研究の分担者が関わって講演会やビデオ上映を試みた。そのひとつ、平成9年5月13日東京大学教養学部視聴覚ホールで開催された「京劇の現在」では、北京京劇院院長であり演出家でもある石宏図氏が京劇の実演を交えて講演を行い、西洋演劇とも日本演劇とも異なる身体表現と演劇性を浮き彫りにした。また同年5月16日に開かれた世界的に著名な電子映像作家デヴィット・ブレア氏のビデオ上映は、電子時代における表象・映像がはらむ問題の所在を多角的に掘り下げるものとなった。これらは緒についたばかりの本研究の問題意識を広く社会にフィードバックする重要な試みであったと自負している。 ただ、本研究は日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアと幅広い地域を対象とし、時代的にも17世紀から現代までをカバーするものであるため、テーマが拡散しかねないことも明らかになった。今後はこれら地域と時代を通底するよりふさわしいトピックの絞り込みを行うと同時に、相互に有機的な関連を持った研究体制の整備が必要であることが痛感された。
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Research Products
(27 results)
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[Publications] 杉橋陽一: "一角獣ふたたび-ツェラン「合言葉」について" 超域文化科学紀要. 2. 35-56 (1997)
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[Publications] 杉橋陽一: "ダールハウスのベートーヴェン理解のために" ダールハウス「ベートーヴェンとその時代」. 348-364 (1997)
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[Publications] 杉橋陽一: "松瀬青々と「月花主義」" 比較文学研究. 5-25 (1998)
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[Publications] Yasuo Kobayashi: "Le secret du partage dans le theatre Bunraku" パリ文楽公演カタログ. 11-12 (1997)
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[Publications] 小林康夫: "庭が終わるところ" フランソワ・ル-アン展カタログ. 39-42 (1997)
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[Publications] 石光泰夫: "沈黙してゆく声-『ジェイン・エア』から『ショアー』へ" 文学の言語行為論. 211-240 (1997)
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[Publications] 石光泰夫: "変身論-女形の身体を考えるために" 『岩波講座・歌舞伎・文楽』. 第5巻. 173-201 (1998)
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[Publications] 石光泰夫: "ニジンスキーにおける心的身体とその空間" 建築文化. 52・608. 157-162 (1997)
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[Publications] 石光泰夫: "空間と平面" 建築文化. 52・609. 149-154 (1997)
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[Publications] 石光泰夫: "エミリ-・ブロンテの「荒野」" 建築文化. 52・611. (1997)
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[Publications] 田中純: "不可能な古代ーアビ・ヴァールブルグにおけるイメージの病理学" 批評空間. II・13. 90-109 (1997)
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[Publications] 田中純: "ユートピア(として)の墓,あるいは一人の使徒による福音" 新建築. 72・7. 182-186 (1997)
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[Publications] 田中純: "われわれの〈時代〉とミ-ス" 建築文化. 52・610. 149-156 (1997)
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[Publications] 田中純: "デミウルゴスの真理" 建築文化. 52・611. 125-132 (1997)
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[Publications] 田中純: "時代意志とその亡霊" 建築文化. 52・612. 129-136 (1997)
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[Publications] 田中純: "腐敗と決断" 建築文化. 52・613. 145-152 (1997)
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[Publications] 田中純: "残余としての女性=身体" 建築文化. 52・614. 125-132 (1997)
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[Publications] 田中純: "古典主義者ミ-ス" 建築文化. 52・615. 191-198 (1997)
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[Publications] 田中純: "零度の建築" 建築文化. 52・616. 152-160 (1998)
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[Publications] ドゥヴォス・パトリック: "MATA LE BEGUE" Programme du Chatelet,Theatre du Paris "KABUKI". 24-29 (1997)
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[Publications] ドゥヴォス・パトリック: "LE JEU PU DOUBLE" Programme du Chatelet,Theatre du Paris "KABUKI". 36-37 (1997)
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[Publications] ドゥヴォス・パトリック: "Histoire de A et B (翻訳と解説)" TANIZAKI,OEUVRES I. 507-550,1730-1734 (1997)
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[Publications] 松岡心平: "世阿弥の花ー花から風へ" 国文学. 42・5. 92-99 (1997)
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[Publications] Matsuoka,Shimpei: "Staging Noh" ACTA ASIATICA(The ToHo GAKKAI). 73. 1-15 (1997)
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[Publications] 小林康夫: "建築のポエティクス" 彰国社, 233 (1997)
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[Publications] 小林康夫: "創造者たち" 講談社, 229 (1997)
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[Publications] 松岡心平(共著): "講座日本の演劇3・中世の演劇" 勉誠社, 401 (1998)