1998 Fiscal Year Annual Research Report
現代地方都市における「ローカルな調整様式」の社会学的調査研究
Project/Area Number |
09410043
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
貝沼 洵 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (00097635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧田 実 福島大学, 教育学部, 助教授 (20229339)
米田 公則 椙山女学園大学, 生活科学科, 助教授 (50195864)
山崎 仁朗 岐阜大学, 地域科学部, 講師 (40262828)
河村 則行 名古屋大学, 情報文化学部, 講師 (30234131)
黒田 由彦 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (30170137)
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Keywords | 現代地方都市 / グローバリゼーション / ローカルな調整様式 / まちづくり / 「産業クラスター」 / 北海道北見市 |
Research Abstract |
グローバリゼションの進展する下でローカルな調整様式のあり方を検討するために、本調査研究では人口10万人前後の地域の中から、「資源供給型」「公共投資依存型」「中央主導型」経済から「産業クラスター」創造により、自立的な地域産業の確立を追求している北海道北見地域と、地場産業の衰退の中で万国博覧会を契機に新たな産業文化交流都市を目指している愛知県瀬戸市を主な調査対象とした。2年間の調査研究によって、北見地域については、ある程度の知見を得られたのでそれを中間報告書として公表する。以下は、その概要である。 北見市は、網走、紋別と並んでオホーツク圏域の中心的な都市である。戦前、交通の要衝であったことと、薄荷景気に湧いたことなどから、周辺の訓子府、置戸、端野から人口力が集中する商業飲食の中心として発展した。戦後も、公共投資による地域振興策が採られたため、それに依存する土木建設業が多数展開し、20%しかない第2次産業の半分を土木建設業が占めるに至っている。他方、中央の補助金に依存した事務・事業の展開により、公債費比率や赴債許可制限比率は限度ぎりぎりの水準に上昇し、市行財政は硬直化している。また、どこの地方都市でも共通して見られることだが、中心商店街の「空洞化」が始まっている。産業構造上も市の行財政構造上も、北見市は危機的な転換点に直面している。それを打開するために「産業クラスター」創造が注目されるが、北見市の動向は、それが目指す地域戦略にはなり得ておらず、危機感を持った中堅建設業の2代目経営者達の運動にとどまっている。住民も含め、市行政、地元財界首脳部、「産業クラスター」研究会の活動的なメンバーなどの主なエージェント間の十分な調整と合意が求められる。なお、後の2年間で、北見市の補充調査と瀬戸市の調査研究を行なう予定である。
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