1999 Fiscal Year Annual Research Report
現代地方都市における「ローカルな調整様式」の社会学的調査研究
Project/Area Number |
09410043
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
貝沼 洵 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (00097635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 公則 椙山女学園大学, 生活科学科, 助教授 (50195864)
牧田 実 福島大学, 教育学部, 助教授 (20229339)
黒田 由彦 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (30170137)
河村 則行 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (30234131)
山崎 仁朗 岐阜大学, 地域科学部, 講師 (40262828)
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Keywords | 現代地方都市 / グローバリゼーション / ローカルな調製様式 / まちづくり / 陶磁器産業 / 2005年万国博覧会(万博) / 瀬戸市 |
Research Abstract |
グローバリゼーションの進展する下で、「中欧指導型」「公共投資依存型」のまちづくりからの脱却を目指す「ローカルな調整様式」のあり方を検討するために、本調査研究では、人口10万人前後の地域の中から、北海道北見地域(昨年度に中間報告)に続き、地場産業である陶磁器産業の衰退の中で、2005年万国博覧会開催を契機に新たな産業文化交流都市を目指している愛知県瀬戸市を調査対象とした。北見地域の調査と並行して進めてきた調査もある程度の知見が得られたのでそれを中間報告書として公表する。以下は、その概要である。 瀬戸市は歴史的にみるならば、陶磁器産業の単一産業都市であった。戦後、瀬戸市の陶磁器産業は、ノベリティや洋食器を主力にし、輸出を中心に展開してきたが、近年は国際競争の激化と急激な円高の進行により、輸出額は1980年をピークに激減した、また、国内の陶磁器市場の低迷もあって内需転換も進んでいない。1997年の瀬戸市における製造品出荷額等のうち窯業土石製品の比重はわずか25%にまで落ち込み、製造業では電気機器に逆転されるに至った。現在の瀬戸市の主な地域的課題は、この陶磁器産業の停滞と多角的な産業への産業構造の転換、名古屋市のベットタウンとしての住宅都市化と地域社会の変容、都市基盤整備の遅れ、行財政運営の陶磁器産業依存からの転換、そして、2005年万国博覧会の「地元」開催の受容とそれに便乗した中心市街地整備を軸とする「まちづくり」の成否、に整理することができる。しかし、万国博覧会の「地元」(海上の森)開催自体が流動化している現在、旧態然たる開発志向の手法に問題が指摘される。
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