1999 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー関係の差別の構造に関する実証的研究-教育、福祉、医療領域の女性リーダーについて
Project/Area Number |
09410051
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
神田 道子 東洋大学, 文学部, 教授 (70058030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
旭 洋一郎 長野大学, 産業社会学部, 助教授 (30298400)
天野 マキ 東洋大学, 社会学部, 教授 (50106035)
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Keywords | ジェンダー / 差別 / 女性 / リーダー / 教育 / 医療 / 社会活動 |
Research Abstract |
本年度は本研究の最終年度であり、男女共同参画推進という観点に立ち、調査結果を分析、検討し、研究のまとめを行った。明らかになった顕著な点は以下の通りである。 1.女性リーダーの影響力は、女性比率によってとらえた所属する場(スペース)のジェンダー構成によって異なる。職業リーダーでマネジメント、人事等に最も強い影響力をもつのは、女性比率が高い「小学校-校長、教頭」のリーダーであり、最も低かったのは「地方自治体ー課長職以上」のリーダーであった。参画の力がスペースのジェンダー性によって異なることが明らかになった。 2.参画可能性の高いスペースを占めているリーダーのジェンダーに関する意識、女性問題認識では、脱伝統的傾向を最も明確に示したのは「社会活動リーダー」であった。それに近いのが職業リーダーのうちでは、女性比率が低い「地方自治体」リーダーであり、他のリーダーとの間に差がみられた。「学校」「病院」リーダーには性役割の固定化につながる意識がみられた。これは参画可能性があり、しかも影響力をもつプレイスに座ったとしても、それが男女平等を質的に進める参画には結びつかない場合もあることを示している。 3.職業スペースの仕組みや習慣を変えるという点で有利なのは「学校」「病院」のリーダーであり、スペースの変革にジェンダー構成が関係していることを示している。 4.スペース(SPACE)プレイス(PLACE)という概念は研究の最終段階でとり入れたものであるが、社会参画研究にとって有効な概念であり、方法論であることが明らかになった。
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