1998 Fiscal Year Annual Research Report
社会資本の地域経済への影響と最適な社会資本供給のあり方についての理論的実証的研究
Project/Area Number |
09430009
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山崎 福寿 上智大学, 経済学部, 教授 (10166655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 義久 文理情報短期大学, 経営情報学部, 講師 (70299874)
井出 多加子 成蹊大学, 経済学部, 助教授 (30245930)
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Keywords | 公共資本サービス / 地方公共財 / 生活関連投資 / 産業関連投資 / 足による投票 |
Research Abstract |
本年度は前年度の理論的分析を基礎にして、実証研究に着手した。社会資本の地域間配分についての研究では次のような結論が得られた。 従来、社会資本の影響は、主として生産関数を計測することで評価されてきた。特に地域別の生産関数の推定結果から、地域別の配分に対して多くの提言が出てきている。しかしながら、消費者の居住地選択や企業の立地行動を考慮すると、生産関数の推定結果は社会資本整備の影響のごく一面しか把握していない。また、社会資本にも各種の性質があり、今後どのようなタイプの社会資本整備を充実していくかについては、コンセンサスが得られていない。 本研究では、米国における理論的研究をもとに、消費者と企業の行動をもとにした社会資本整備の影響を都道府県別のパネルデータ計測した。その結果、生活関連の社会資本ストックは、人々の居住地選択に大きく影響することが明らかとなった。反面、企業は産業基盤整備の状況にそれほど影響されず、むしろ企業同士の集積のメリットや購買力の高い人口密集地帯に立地することが明らかとなった。生活関連資本の充実した東京周辺地域に消費者や企業が集中してきたのは、このようなメカニズムによるものと考えられる。 次に、公共資本サーヴィスのひとつである鉄道サーヴィスの混雑料金推計においては、JRの中央線を対象にして分析を行なった。各利用者が感じる混雑による不効用は地価や地代に反映されることを利用して、ヘドニック・アプローチを用いて混雑料金を推計した。これによると、中央線では混雑時においてはおよそ4-5倍の料金を課すことが必要であるとの結論が得られた。
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