1999 Fiscal Year Annual Research Report
社会資本の地域経済への影響と最適な社会資本供給のあり方についての理論的実証的研究
Project/Area Number |
09430009
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山崎 福寿 上智大学, 経済学部, 教授 (10166655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 義久 文理情報短期大学, 経営情報学部, 講師 (70299874)
井出 多加子 成蹊大学, 経済学部, 助教授 (30245930)
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Keywords | 公共資本サービス / 地方公共財 / 生活関連投資 / 産業関連投資 / 足による投票 |
Research Abstract |
公共事業の地域経済に及ぼす影響についての研究では、社会資本の質的違いが地価や人口にあたえる影響について、経済理論モデルに基づいて実証分析を行った。1982-93年の沖縄県を除く県別パネルデータで推定したところ、生活関連資本ストックは労働者の居住地選択行動を通じて、地価を高めていたことが判明した。人口にあたえる長期効果は、産業・生活関連資本ストックで定量的にもわずかな違いであった。近年の地価変動との関連を見るため、基礎データとなる部門別社会資本ストックのデータを1970-96年にわたり都道府県別に、各種の資料から作成し公表した。 公共サーヴィスの最適料金についての研究では、首都高速道路を対象に道路交通の混雑費用を推計した。自動車の混雑費用の算出では、需要関数と速度関数を直接推計して、暫定的であるが混雑費用を算出した。高速道路の通過自動車台数は高速道路の混雑率に依存すると仮定した。また、当該区間の通過自動車需要は、その区間のスピード、金銭的費用(料金+ガソリン代)、そしてその他の経済要因によって決まると仮定した。両者の関係を回帰方程式を用いて推計することによって、混雑費用を計算することができる。前者は『首都高速道路通過台数データ』の時間別データ、後者は『首都高速道路交通起終点調査』のランプ間交通量と、『首都高速道路通過台数データ』の区間別スピードをもとに、車両種別に推計している。実証結果は混雑費用が有意に検出され、普通乗用車で、平均17キロメートルあたり300円程度の混雑費用が発生していることが判明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山崎福寿,浅田義久: "鉄道の混雑から発生する社会的費用の計測と最適運賃について"住宅土地経済. 第34号. 4-11 (1999)
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[Publications] 山崎福寿: "東京の一極集中問題-地震対策と交通混雑対策-"住宅問題研究. 16. 3-18 (2000)
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[Publications] 井出多加子: "部門別社会資本整備と地価"不動産と金融. 第8章. 136-158 (1999)
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[Publications] 井出多加子: "地価と社会資本の質"住宅問題研究. 15. 19-36 (2000)